フォーラム

2002.10.11現在

山崎裕司氏のご講演の概要

テーマ「 21世紀型の公共政策について 」
山崎氏講演の様子
建設崩壊とは?

ご紹介頂きました山崎です。宜しくお願いします。政治というものがものすごく大事な、そんな時代に突入していると思うんですね。建設崩壊っていう意味での、私の方でいつも建設産業を相手にして話をしている時に、大体三段階があります。第一段階は、建設投資が減りますと。これはもう当たり前だと感じておられると思うんですけれども、ただ、実感としてこういうものを見ていただきながら話していきます。ちょっとこう、まあ体で感じていただくというんですかね。これ、埼玉県秩父市という所でですね、建設投資がどうなっているか、公共建設投資ですね、の表なんですよ。これを上から見ていただいてですね、96年段階で145億円の仕事があったんですね。で、会社の数が大体50社ぐらいこの地域に建設会社があります。ですから、1社平均3億ぐらいですから、まあまあ、会長さんも言っているんですけれども、「良かった」と、「この頃は」と。言っておられたんですね。ところがですね、まあ順番に見ていきますけれども、97年は99億円、三分の二になりました。98年もなんとか頑張って95億円、でも99年になって70億円、半分になりました。で、ここから埼玉県は、明確に公共工事の削減を打ち出しはじめます。で、2000年はですね、2000年に向けては20%の削減、公共投資のですね。20%の削減するっていうのは実は、ちょっと時間がないんで充分な説明しませんけれども、地方のゼネコンさん、建設業が受注する新規発注案件っていうのがありますね。そういうものでいいますと、およそ半分近く減っちゃうんですよ。影響が一気に来るんですね。ですから、現実にここはですね、約40億円に減りました。さらに2001年に向けては、埼玉県はさらに30%削減するという話になりまして、そうすると秩父市の方に出てくる仕事っていうのは、この2001年ここには書いていませんけれども、ここの段階で大体25億円という感じになるんです。ですから145億円っていう仕事がパタパタパタッと減って25億円。こういう状況っていうのは、もう日本各地で、まあ地域格差があるんですけれどね、地域格差はあるんですけれどもいろいろな所で起きている現象なんです。まあ、ですから、建設の仕事が減るよっていう話は、まあ今みたいな感じでかなり極端に減っていくっていうイメージです。
ちょっとその事情についてですね、これはもう世の中でよく言われていることの確認ですけれども、例えば、これが東京都の建設投資の状況。資料が古いんですけれども。この流れでずうっと減っていっていると。イメージをつかんでほしいんですけれども。まさにイメージだけ。1兆7532億円の公共工事が東京都であったんですね。それが約5年間、4年間で9073億円ということで約半減、みたいな感じです。これはまあイメージですから、「ああ減ったんかな」ということで結構なんですけれども、その理由というのを、これできちっと把握しておきたいというところですね。
会場の様子
で、書いてある通りなんですけれども、今後3年間で東京都は、2兆1千億円お金が足らなくなる。2兆1千億円というのは、これ額がものすごく大きいものですから、ビックリさせようと思っていつも持ち歩いているシートなんです。例えばですね、年間で7000億円。これをお金をこう積み上げていきますね。どれぐらいの高さになるかってよく質問するんですけれども、富士山よりも高いか低いかっていう、こんな話をしているんですけれどもね。大体ですね、7000億円と言うお金をレンガ状に、こう札束を積み上げていきます。そうすると富士山の2倍になる。それだけの分量のお金が足りないんですよ。で、今、外形標準課税でしたっけ、あれで今裁判沙汰になっていますね。あれで負けると、もしかすると東京都は、起債なんとか団体、制限団体。要するに倒産、破産、自治体としての破産を迎える可能性があるということですね。ですから公共工事出せなくなりました。で、これと同じ状況は、多分福井県も福井市も同じで、日本中の自治体の6割が、ほとんどこれと同じ状況に陥っています。で、国も同じようにして、ものすごく借金抱えているというのはお分かりのことだと思います。これがまず第一段階ですね。仕事が減りますと。これが第1段階。
 第2段階は、まさに福井県福井市のちょっと古い新聞記事なんですけれどもね。2番目に何が起こるかといいますと、よくいう、世の中というか新聞で言うところの叩き合いがはじまります。ただしですね、よく朝日新聞とかあの辺がいっているんですけれども、「競争に突入すると8割に平均落札価格が決まるんだから、2割昔から高かったんだろう」と。「建設産業は2割高めに仕事を取っていた。談合の弊害である」と。いう言い方をするんですけれども、実態はそんなにチンケなものではなく、ここにありますように、「競争知れず、事前公表の福井市に異変」ということで福井市の事件なんです。99年1月の記事ですから、起こった事件自身は98年の事件ですね。で、その時に起こったことは何かというとですね、平均落札率、予定価格に対して何割で、何%で落札したかという、その率ですね。7つの工事がここにこう羅列してあります。で、それぞれのですね、トータルの平均値が62.5%です。これは、どう考えても、平均値を見ても赤字です。建設産業ってこういう体質あるんですよ。叩き合いに突入すると、もうとにかく馬鹿みたいにやっちゃう。中でも福井県福井市の人たちは意地っ張りが多いんですよね、きっと。ですから、一番きつかった工事、これなんですけどね、1億2800万円の工事を、落札した段階では6300万円。49.2%になっています。で、これを僕、実は日本中持って歩いて、建設会社相手にして、スピーチする時に必ずこの表を見ていただいて、「49.2%、1億2800万円が6300万円」はい、この仕事欲しい人っていう質問するんですね。未だかつて欲しいといった人はいません。ですから、この金額でやると多分4000万から5000万赤字になっちゃいます。でもこの金額で落札するんですよ。ですから、叩き合いっていうのは、普通に考えていただいて、単に適正な金額に落ちるんではなくって、それよりもさらに下に落ちる。これが実情なんですね。まあ、「建設会社は今まで儲けていたんだからそれでいいんじゃないか」っていう市民の方もおられると思うんですが、で、次の段階として起こることは何かというと、「地方ゼネコン淘汰の波、痛みの時代に」とか、「切られた融資万策尽きた」、「即日解雇通告社員呆然」という、新聞記事ですけれども、これは場所はちょっと違います。静岡県の焼津市という所の協会の会長さん、金融機関が貸しはがしをしたんです。その結果としてよくやる方法ですよね。「1回お金返してください」と。「すぐに戻しますから」とこう言う。でも、すぐに戻すというのは嘘で、1回金が帰ってくると次に出てくる言葉は、「本店の決済が下りませんでした」の一言です。案の定これをやられたんですね。で、社長さんは倒産すると思っていなかったんで、仕事を社員にさせていました。で、バタッといっちゃったんで仕方がないから社員を集めて、「今日うちの会社潰れた」と。現場で仕事していた人、事務の経理をしていた女性の方、皆さん呆然としてしまって、涙ボロボロっていう、そういう新聞記事ですけれども、日本中でこういうことが当たり前に起きている状態が今です。
 今年、2002年ということを考えた時に、今年これからもっと建設産業は悲惨な状態になる、公共投資、政府部分は、一番多かった時には、35兆ぐらい仕事が出ました。これが97年、34兆ぐらいからですね、約32兆まで仕事がパタッと減ったんです。建設会社が真っ青になってしまった年っていうのが97年です。ですから2兆円減るっていうのは、かなり衝撃がきつい。去年、2兆円ぐらい減りました。厳しかったといわれている97年、それから2001年の、2倍以上の金額。4.4兆円、日本中で、だいたい仕事がなくなるというのが実感されるのは、建設産業で7月8月9月なんですね。ですから来月あたりから、日本中で建設会社の社長さんが、「仕事はどこにいったんだ」っていう、そういう騒ぎが起こりそうだなと、こんなふうに感じます。さらにあとまだ1兆円ぐらい減るだろうなと、というのは、自治体がどんどん公共工事減らしているんですよ。

交流会の様子

交流会で山崎氏と語る


日本という国は、実は1500年来お上の国

 戦争に負けたのが8月15日に原爆2発落とされて、GHQがやって来たわけですね。マッカーサーが。そして憲法をおしつけました。マッカーサーの政策はですね、日本を骨抜きにして、ある意味で馬鹿な国にしてしまうというんですかね、二度と戦争の出来ない国にしてしまうというんですかね。そういう方向性だった。共産主義が今世界に蔓延しようとしていると。で、日本を叩き潰してしまうよりは、むしろ共産の砦として元気よく復活してもらわないと困るんだと。そのワシントンの方は、52年が朝鮮動乱ですね。ですから、そんなことを含めてソ連の脅威、中国の脅威から考えて、日本は経済的に隆々とした国になってもらわなければ困る、ということを考えたんです。で、マッカーサーが50年くらいに一度、まあとにかくお前辞めろ、帰って来いということで、首になった。ですから、日本の国はですね、一時こういった形で憲法が出来て、民主化の方向に動き出して、農地解放あとなんとかかんとかていうふうに、マッカーサーを中心にしたある形が、憲法を中心にして形作られたんですけれども、途中で方向性変わったんですよ。このときに誰が何をしたかといいますと、岸伸介さんですね。が、巣鴨から開放になって、岸さんを中心にして満州で実験をしていた、国の建て直しの仕方。それは実は国家総動員法とほぼ同じ物です。ですから、この一連の1940年から戦中に続いたこの構造が実は日本を形作って、これが本当の日本なんです。
 日本という国は、実は1500年来お上の国だった、税金払っていますけれど、何か年貢みたいな感覚で渡していませんか。あれはお上に取られるんじゃなくって、預けるんですよ。税金っていうのは。あくまでも自分のものなんですよ。まさに計画経済の図なんです。お金をこっち側に集めて、ここから順番に経済の方にまわしていくっていう、計画経済の図式です。建設会社はちょっと前までは地方自治体の施工部門だったんです。会社じゃないんです。あれは施工部門なんです。ですから、準公共機関なんですね。建設会社、地方のゼネコンさんっていうのは。地方自治体は建設工事を発注するに当たって、1億の工事、予定価格1億の工事は1億で出さないと計画経済が狂うんです。1億で出したものは1億で取ってほしいんです。ひとつの事例として、徳島県の話です。ある町で公営住宅が2棟横並びで建設されることになったんです。A棟とB棟は全く同じ物です。A棟はつつがなく談合で決まることになったんです。これはよかった。発注側からしてですね。B棟はですね、なんと叩き合いになることになったんですよ。A棟はこれ、ですから落札率、当然談合ですから100%になるんですね。で、B棟は叩き合いに入ると80%とか、そんな金額になるんですけれどもね。この100%の工事金額をベースにして計算していくと、10万円ですよと、一室。決まったとします。計算の根拠がこの金額なんです。落札価格なんです。叩き合いで80になると、計算すると8万円になっちゃうんです。皆さんどっちに住みたいですか、同じ物で。もし10万円の方に住んでいる人は、「何で向こうが8万でうちは10万なの」って文句出てきますよね。こういう矛盾が噴出することを懼れて、100%に戻そうとしたんです。もともと制度が、この計画経済をベースにして、ありとあらゆるものが出来上がっています。
 戦後50年が終わった。ちょうど50年なんです。戦後50年が終わった。で、今はどういう状態かといいますと、無政府状態っていう言葉がありますよね。あるじが誰か分からない状態。本来ここで国民が私達があるじだと。本当の権利を持っているんだと出て来ないといけないんです。出て来ないといけないのですけれども、国民にそれだけの自覚がありません。残念ながら。全体的に無政府状態が実はこの10年間支配しているんです。ですから日本良くならないんですよ。 戦後50年というものは、官僚主権の計画経済の、生産者を優位にした計画経済なんです。この枠組みが完全に崩れまして、国民主権の、市場経済の、生活者優位の時代に変わらないといけないんです。変わらないといけないんですけれども、その狭間の中で、グズグズグズグズしているのが今。まさにその時期なんです。で、そう考えた時に福井県、あるいは福井市っていうのは、もうまさにこの戦後50年の申し子みたいな自治体なんです。ですから、親子連れとかそういうものを見ていて感じるのは、このままでいくと、もう祭りは終わりました。ですから戦後50年の非常に恵まれた環境の中で福井県は豊かに幸せにやってきたのかもしれませんけれども、その祭りは終わってしまったんです。そう考えた時に、本来なら正にここのところで、新たなあるじとして、国民、県民、市民が手を上げて、この国作り直すしかないわけです。で、そういう環境になっていると考えた時に、福井市に集まって、動き始めると、もの凄く面白い動きになるのかもしれませんが、もしそういう動きが始まらないとすると、単に祭りが終わって、その結果として元に戻るといいますか、あるべき状態、あるべき貧しさに戻っちゃうというんですかね。

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