| 聞き手 今福井の方にとっても、それから日本中の方にとっても、あるいは全世界が注目しているといっていいと思うんですが、北朝鮮の問題です。北朝鮮に対してこれから日本という国が世界を後ろ盾にして言わなければならないことがいっぱいあると思うんですけれども、その中でもまず解決しなければいけない拉致問題。これ我々分かったような気はしているんですが裏側に隠れているものをどこまで知っているかというと意外と分かっていないのではないかと思うんです。今日はその辺りの所から少し教えていただけるようなことがあればと思って、お話を伺おうと。
笹木 今日の朝刊でも書いてありますが、あくまでも日本に子供に来てもらって会いたい。第3国で会うんではなくて日本に来てもらいたい。その場合は解決までに時間がかかっても仕方が無いと地村さんが言われています。これは凄いことで、その長期化した場合に、じゃあ子供がその間本当に安全かどうかとか凄く心配だと思うんです。国を信用するということを言われていますよね。これは今まで国がやってきたことを信用できるということではなくて、祈るような気持ちで言っていると思うんです。こういう問題には結局、国と国が関わっていかざるを得ない。その象徴だと思うんですね。ちょうど曽我さんや横田さんが拉致されたのと同じ時期ですけれども、1978年。遠い国ですけれども、レバノンでレバノン人が北朝鮮によって拉致されるという事件が起こっているわけです。北朝鮮の工作員が日立製作所と名乗って、レバノンの女性4人を拉致した。現地社員を採用するんだといって、一時研修の為と飛行機に乗せてピョンヤンに連れて行った、という事件なんです。一年後にベオグラードに来ていたわけですけれども、その時にその4人のうちの2人が大使館に逃げ込んだ。それで救出をされたわけです。あと2人はどうなるのかということで、レバノン政府は何とか帰国させるように要請している。北朝鮮はごまかしてのらりくらりやっていた。それに対して、もしこれを断るなら政府としてあらゆる手段を講じて女性達を取り戻すと強硬に詰め寄ったわけです。北朝鮮は残りの二人の女性を開放した。これが拉致された一年ちょっと後の出来事なんですね。
聞き手 レバノンでも北朝鮮による拉致が起こっている。日本でも起こっている。何故日本だけこんなに24年間も時間がかかってしまうんだろうって日本人にしてみれば思います。特に子を持つ親の立場としてみれば、地村さんのお父さんのおっしゃっていることなんて本当に痛いほど分かるような気がするんですけれども、そこが今言うところの国と国の問題、力関係というふうな事も含めてということなんですか。
笹木 横田さんのお母さんがもっと早く、15年前20年前にちゃんと交渉していたらと言われてましたけれども、何故遅くなったのか理由は2つあると思うんです。一つはよく話題になっていますけれども、つい10月までですか、ある野党のホームページで、北朝鮮は日本人の少女を拉致する理由などはない。それは創作された事件。実際に無いんだけれども日本側が作っている事件だと。これを10月までホームページに載せていたわけです。それと去年の11月、ちょうど1年位前ですけれども国会での代表質問で、朝鮮半島を植民地にして言葉を奪ったことに対して何の補償もしていないのに9人10人拉致された人を返せとばかりいうのはフェアじゃない。堂々とそういう質問をしているわけです。何でこういうことが起こるかというと、結局、野党のいくつかの政党というのは北朝鮮ですとか韓国ですとか中国、いわゆる第2次大戦の時に日本が侵略した国、なかでも社会主義の国々には常に謝ったり、機嫌を取ったり、もうそれだけをやっているわけです。それだけやっていて、与党の方はアメリカと大体同じような外交をする。野党はそういう中国とか侵略した国に対して機嫌だけ取る。これだけやって済ませてきたわけです。実際それで済んできたわけですね。これは一部野党だけじゃなくって、メディアとかも決して拉致という言葉を使わなかった。97年以降は韓国に亡命した北朝鮮の工作員が横田めぐみさんを見たという証言があって、日本政府も殆ど北朝鮮の拉致だと、その疑いが濃厚だと認めた後もその態度を変えなかった。行方不明者という言葉しか使わなかったメディアはいくつかあるわけです。これが一つですよね。もう一つ、99年与党の実力者も加わっている訪朝団。そこでは拉致という言葉はもちろん使わない、行方不明者という言葉も使わない。両国が関心を持っている人道問題だと。こういうような抽象的な、北朝鮮にとって一番いいような言葉です。これを宣言文の中に入れているわけです。どうしてこれほど弱腰の宣言文を入れたのか。噂されているのは、この実力者はいわゆる朝鮮絡みの利権に染まっていると。
聞き手 ただ我々は日本国民の立場で素直に思うんですが、日本国という国家とは一体何かと考えると、国民の生命財産というのを守るのが国家の役割ですよね。我々がその税金をちゃんと収めて国というものをちゃんと成立させているかぎりは。何故この国家犯罪であるところの拉致をそこまで認めてくれないのか、腑に落ちない所がありますよね。
笹木 どうして今言ったようなことで済んできたのか、あるいは済ませてきたのかというと、結局、戦後日本は外交とか安全保障とか大枠の所はアメリカに従っていればいいと。野党のほうはそれにちょっとけちをつけながら社会主義国には機嫌を取る。これで済ませてきたわけです。もっとさかのぼっていうと、ヤルタ会談でスターリンが対日参戦にこれから踏み切ると。アメリカは38度線を引いた。ここより南にはソ連を来させないとした訳ですけれども、スターリンはその時に日本もドイツと同じように分割統治するべきだと言って北海道に攻めようとしたわけです。それをマッカーサーが攻めてこないようにした。こういうところから結局日本はアメリカが守る、外交も安全保障も大枠でアメリカの言うことを聞いていればいい。日米安全保障があるからアメリカという一番大国の機嫌を取っていれば日本の外交も防衛も何とかなる。これでずうっと来たわけです。実際それで大体、経済に専念して済んできたわけですけれども、この拉致問題だけは、日本にとっては日本国民の生命の問題だけれども、アメリカにとってはそんなに大きい問題ではない。これはアメリカの言うことを聞いていても解決はできなかったわけです。
聞き手 そうですね。あまりにも日本に住む者も、日本人にとってみても、今までも何かくさいものがあれば蓋していればいいやっていうような態度がありすぎましたけれども、拉致問題に蓋をしていてはいけないわけです。さて、今非常に微妙な状況を迎えていると思います。この後、11月のうちにどういうふうな動きがあるのか、また日朝の国交正常化交渉などもあるのかないのか分からない状況ではありますけれども、日本にしてみれば、拉致問題はまず最初にやらなくてはいけないけれども、核の開発問題に関しても国際的な立場から一言いいなさいとあちこちの国から言われているような、そういう立場にもいます。今この先どうなりますと一言ではいえないと思うんですけれども、何に注目して見るべきなのはなんでしょうか。
笹木 さっきお話したような、アメリカの言う通りやっていて全てうまくいく訳じゃない。しかし一番同盟を結んでいる大事な国。今度のこの拉致の問題の進展というのも最初のきっかけはやっぱりアメリカが悪の枢軸と言って北朝鮮に対してもかなり脅していった。それに脅威を感じて向こうが日本に対してアプローチしてきたという面もあるわけです。そういう色々な関係はあるんですけれども、じゃあ今の核開発の問題、これ一番ノドンとかテポドンで日本は近い国なわけですよね。ミサイル打ち込まれると一番困る。そういう問題も含めてアメリカとどこまで付き合うか。で、アジアの中国とか韓国とどこまで一緒にやっていけることがあるか。これは要するに日本がこれから自分の頭でどう考えていくか、シナリオを作っていけるか、それが問われているということだと思うんです。
聞き手 ちょっとその辺りを注目してみないことには国際的な考え方から取り残されてしまうかもしれないぞというふうなところで今回の結論ということではありますけれども、またこのコーナーに、今新聞にこんな事書いてあるけれども何のことかわからないというようなことがありましたらご質問などもお寄せいただけたらと思います。
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