| 聞き手 今日は1番気になっているところのお話だろうと思われます。税金です。減税の後にどうせ増税がやってくるなんて、こういうのってそれだけでもまた消費を冷え込ませるような考え方でよくないとは思うんですが、その中身もやっぱりちゃんと知らなくてはいけませんよね。
笹木 議論は続いていますが、来年度に向けていろいろ税制を変えようという、大きいポイントが2つあります。一つは生前贈与、高齢者からその家族に、子供、息子に娘に生前贈与した場合は税金がかからない部分。これともう一つ課税最低限を下げるという二つです。まずどうしてこういう話が起こっているかということですが、先週、日本の国が借金たくさんあるけれども貯金も結構あるよと、外国にもお金をいっぱい貸しているよという話をしました。さらに、日本の国は個人が持っている貯金の額は総額1400兆円もある。これは世界の中でもダントツにトップで、莫大な貯金を国民が持っている国だっていう話があります。小泉さんが国債増発30兆円枠をやっぱり守れないという話しになっていますが、1400兆円のうちの2%仮にちゃんと貯金が投資にまわれば、28兆円になるわけです。今不景気で何が問題かというと全然お金が動いていないということなんです。仮に銀行に預けても不良債権の問題があったりして、預かった金を銀行が貸すべきところにちゃんと貸せない。だからお金がまわっていない。さらに手前の所では昔ならタンス預金と言いましたけれども、自宅用金庫が結構売れている。銀行に預けてもあんまり利息がつかないから、もう家でそのまま置いておきましょうと。要するに全然お金が動かない所が問題なんです。
聞き手 なるほど。考えてみれば、元々何故日本人は貯蓄がすきかというと、戦争に負けた後に何とか日本の国の経済を立て直さなくてはいけない。皆で頑張って働いて儲けたお金を一旦銀行に入れましょう、という政策があったわけですね。それによって銀行がちゃんとしたしかるべき所に貸付ける、それでお金がまわっていくというのがあったはずなのに、もうそのシステムは崩壊しているということなんですか。
笹木 今立て直さないといけないんでしょうけれども、非常にまずい状態になっている。そんな中で全然まわらないままにしておけば、どんどん不景気になるわけです。去年やったことで非常に効果があったといわれているのが、住宅購入のための贈与、300万円までは非課税だったのを550万円までに大きくしたんです。かなり効果があって、新しく住宅作る人、購入する人、そういう人が550万円ギリギリぐらいまで贈与をうけて購入しているというのが大幅に増えた。さっき言った1400兆円、このうちの半分以上を誰が持っているかというと決して20代30代40台50台の方じゃないんですね。60歳以上の方が半分以上持っている。
聞き手 言ってみれば第2の人生を始められた方の年代ですね。
笹木 こういう方はどちらかというとあんまり使わないんですね、貯金を。だから若い人に贈与し易くすれば若い世代は教育費であったり住宅費であったり色々ありますから、それに使うだろうということで、今年はさらにそれを、今までは年間の非課税枠が1年間に110万円だったんですが、これを合計で2500万円までは生前に贈与しても課税されないと。これが来年度の税制改正1つ目の大きい変化ですね。もう一つはこれは歓迎しない方もいると思うんですけれども、課税最低限といって、要は年間これだけの所得よりも低い人は実質税金がゼロというその境界線、これが今まで夫婦子供2人の世帯で384万円だったんですね。2004年からそれを325万円にしようと。下げるということは今まで税金がかからなかった人もかかるようになるということです。
聞き手 なるほど。このボーダーラインにいる方は非常に微妙になってきますよね。わずかに少なければ税金かからないのに、というところがありますよね。
笹木 何故こういう動きが出ているかというと、法人税(企業にかかる税金)、これはどんどん下げていかざるを得ないんですね。というのは今もう企業が税金の低い国を選ぶというふうになっているわけです。
このアジアの中で言いますと香港とかシンガポールは非常に安いといわれています。シンガポールは20%、香港が10%台です。さらにタイ、これも外国の企業が来れば10%台にしようと。韓国の大統領選挙、昨日決まりましたけれども、韓国も27%。日本は実行税率、地方で取っている分と国で取っている分、あわせて、今40%くらいです。この差が、要するに日本国内からも外に企業が行ってしまうだろうし、外から企業は来なくなる。そうすると結果的には税金も入らなくなるわけです。
聞き手 言ってみれば海外にとって見れば、これは企業誘致の為にこうやって低い法人税率を設定しているということですね。
笹木 その競争になっているわけです。そうするとそこを上げたりはできないし、下げざるを得ない。じゃあその下げて税金が少なくなる分をどこで増やすかということでさっき言った課税最低限を低くする。もう一つは今後の動きで出てくるのは、まだヨーロッパの国に比べて消費税、間接税は低いわけですから、5%といっても、これをやっぱりあげようという話になってくると思うんです。
聞き手 政治家というのは消費税を上げざるを得ないというのは頭で分かっているのに、何故その人気の為に、私は消費税はあげませんなんていうのを簡単に言っちゃうかななんて思うときありますよね。衆議院でも参議院でも見ていると、上げざるを得ないとみんな分かっているはずなのに、それを正面切って言えない。本当の事を言ったら10%20%取っても今いいぐらいのところまで来ていますよね、日本経済というのは。
笹木 どんどんそういう話になってくると思うんです。ただそうなってくる場合に当然不満としてでてくるのは、一つは例えば所得が低い方の場合には基礎的な食料品とかにもかけるのかと。さらに、よく言われるのはサラリーマンというのは完全に税金を把握されているわけです。税務署に。これは毎月の給料の中から引かれているわけですから。でも、あまり把握されていなくて、意外と、これはもっとシビアに文句が出てくるはずです、誤魔化している、そういう方一杯いるじゃないか。この不公平です。もっと言うと、一般のサラリーマンの方というのは、よく利益誘導型政治とかっていいますけれども、そういう対象にほとんどなっていないんです。消費税はほとんど平等にみんなから同一税率で取るわけですから。そうすると、同じだけどんどん取られて恩恵は俺達にはないのかという話になる。今までだったら、きれいな施設、立派なでかい公共の施設出来たと、それでなんとなくよかったなあという感じだと思うんですけれども、全部これ税金だと。自分達が負担している感覚でチェックしていかないといけなくなる。ますますそういう声が強くなってくると思うんです。先週、公民館の例で満足度調査をするといいと、もっと夜間まで使える公民館も増えていいし、施設も増えていいという話もしましたけれども、福井市内でもここ15年位の間に大きな公共の建物、たくさんできましたよね。建てれば建設費だけではなくて、毎年運営費とかランニングコスト、維持管理費いっぱいかかるわけです。ちゃんとそういう数字を年間これで一体何億かかっているのか公開していけば、じゃあただ施設つくるのがいいというだけではなくて、そういう目で見れるようになると思うんです。これをしないと、国の財政たいへんだという話はありますけれども、福井県の財政だってもう10年も先じゃあないんですね。それ以内に今のままの状態だと完全に破綻するだろうといわれている。
聞き手 もうそんなに近いところまで来ているんですか。よく大阪府なんていうのはもう破綻している自治体だなんていいますけれども、福井県ももう。そうですか。
笹木 これはまた別の機会にゆっくりお話したいと思っています。そういう中で消費税増税とか課税最低を低くして薄く広くとっていく。その使い道をしっかりとチェックできるように、行政の側も、あるいは色々なオンブズマンも何か建てればどれだけかかっているか、その後も毎年どれだけかかるのか。ちゃんと見せていくということですよね。
聞き手 そうですよね。我々がもし自分の家を建てるとすれば、建てるだけのことではなくてシビアに考えます。公共の施設でも同じように考えなくてはいけないということですね。
笹木 そうなんですね。発生主義といって細かい話になるんですが、何か建てたら毎年これだけかかるというのが企業の場合にはつくった時に計算するんですね。それを今まで行政は全くやっていなかった。それをしないと、つくってみて数年たって、その維持管理費で滅茶苦茶苦しくなるという、そういう市町村もあるわけです。
聞き手 ちょっと気になったんで最後にお聞きするんですけれども、今この調子でぱっぱぱっぱ使っていると、福井県の財政というのは早くて何年くらい先にというのは、こういう試算というのはどこかでしているんでしょうか。
笹木 もちろん、それは今度ゆっくりお話しますけれども、10年先なんて先ではないんですね。
聞き手 でも数年ぐらいのレンジでというのはお尻に火がついてきますね。まあ、そんな中で一つリクエストがあるとするならば、その行政の側にも不公平に、その弱い者いじめに感じないような形というようなものも考えていただければと思います。 |