| 聞き手 世界に目をやりますと、なんかきな臭いところがあるみたいですが、今日はそんなお話ですね。
笹木 イラクに対する国連の査察が始まって、一ヶ月です。イラクの側は大量破壊兵器はないと言うし、国連はあるんじゃないか、アメリカはあるといって、ちゃんとシビアに調べろといっているわけです。査察調査は建前としてはそれで大量破壊兵器を造っている、あるいは持っている、使用しようとしているという証拠が出たらそれで懲罰をする、攻撃をするといっているわけです。しかし実際的には8月からアメリカの特殊部隊は入っている。イラクも含めて湾岸諸国には大体6万人、アメリカの軍隊が入っているといいますが、その中で数千人、まあ2千人か3千人ぐらい、もうイラクの国内に入っている。空爆は来年のかなり早い時期に始まるのではないかということですが、始まってからなるべく短期で終わらせると。
聞き手 ということは、査察をして何もなければそれでいいということではなくて、筋道を踏むために、査察はしてみた。それは戦争に対する準備であったということであると。
笹木 そうですね。そういう手続きを踏んだということでしょうね。ほかの国に対する説得材料として。極端に言うと、もう攻撃するとほぼ決めている。その場合に、空爆が始まったらなるべく早く終わらせたい、フセインをとにかく捕まえたい。フセインを殺したいということなんです。生物兵器、化学兵器、あるいは核兵器、これはフセインがいる限り必ずまた造るだろうし、それを使おうとするだろうと。しかし、フセインの側もよく「影武者は無限にいる」と。地下100メートル位のところに基地を10箇所ぐらい持っているといいます。なんとか捕まらないようにしているわけです。この間のアフガンの戦闘の時でも、一人一人のテロリストが山岳地帯ですとか山奥に隠れている、地下深いところに潜っている。これでは簡単に爆撃できないだろうといわれていたわけですが、プレデター、無人の偵察機、これが3000メートルから6000メートル位から全体を把握できるわけです。例えば数人いたというだけで連絡して、爆撃をピンポイントでできる。地下深いところにもその爆弾は届く。これでかなり短期で終わらせてしまうんじゃないかといわれているわけです。
聞き手 オサマビンラディンの場合も、もう死んでいるといっていたのに映像が出てきたり。そういうのがあるから今度こそフセインを、というような思惑もあるんでしょうけれどもね。
笹木 そういうことで今、着々と破壊もしているし、空爆の準備もされているということです。アメリカにしてもソ連という軍事の喧嘩相手がいなくなったわけですから、このテロリスト、テロ集団が唯一の敵だということで、防衛とか軍事、兵器をどんどん変えているわけですが、テロに対する備えと同時にもうひとつやっぱりあるんじゃないかといわれているのが、中東の石油。イラクからサウジアラビアにかけての地域は、埋蔵されている石油と天然ガスがすごく多いといわれているんです。アメリカはすでに国内での石油消費の半分ぐらいを輸入するようになっていますし、21世紀にはもっと輸入が増えるだろう。一方、中東、特にイラクからサウジアラビアにかけての地帯の地下にまだ眠っている石油と天然ガスがたくさんある。昔よく、ローマクラブとかが、「後50年とか70年で石油はなくなる」と70年代とか80年代にいわれましたよね。一向になくなっていないわけです。何故かというと、ひとつはITを使って調査する技術がものすごく進歩して、深さまでだいたい正確に把握できるらしいんです。それと掘り出す技術もすごく進んでいるので、この中東でのものが掘れるようになったら、格段に埋蔵量は増えるのではないかといわれているんです。
聞き手 アメリカにしてみれば、軍事力というだけでなくてエネルギーの面で、あるいは経済の面でも世界を牛耳っていくというふうなことになってくるわけですね。
笹木 イラクを軍事で懲らしめるということで入っていって、そこで長期に米軍が駐留するとなると、イラクだけではなくて周りのイラン、サウジアラビア、クウェート、ここらも軍事的にも政治的にも抑えることができるわけです。中東全体の石油についてもかなり影響力をもつことになりますよね。
聞き手 なるほど。今日もニュースでイラクの副大統領が「日本はアメリカ、イギリスに続く第3の敵国だ」というふうなことまで言っているのを聞くと、日本人にとってみてもすごく気になる話ではあります。この後アメリカはどういうふうな動きをするのか。イランへも同じように空爆をしていくのか。ほかの国に対しても同じように空爆というようなことも踏まえて戦争を続けるのか。日本はどういう立場をこの後とっていくのか、ということは、考えてみるとすごく身近な問題ですね。
笹木 悪の枢軸というのはイラクと北朝鮮とイランということですよね。この3つの国というのはNPT、核を持つ国をこれ以上増やさないように、NPTの条約、これに入っていながら違反しているのがこの3国だと。かなり証拠がつかめるんではないかということで3つの国をならず者国家といっているわけです。だからイラクの後は北朝鮮の可能性がかなり高いわけです。そうすると遠い国じゃなくても近い国、特に北朝鮮についてはノドンミサイルというのは、他でもない日本を狙って配備されているわけですね。東京の中心部、皇居ですとか国会ですとか。
聞き手 そういうミサイルがもし飛んできた場合は、どういうふうな対策が今とられているんですか。
笹木 少なくとも最初に打ち込まれたものについては防ぎようがないです。その後についても、かなり怪しいんです。だから唯一何に頼るかというと、結局いい悪いは別にして日米の軍事協定、安保です。これでアメリカがどれだけ協力してくれるかということがやっぱりあるわけですよ。
聞き手 日本の場合は専守防衛なんだと。自分の国に攻め込まれたときに守るための自衛隊がいるんだといわれていますけれども、その自衛というのも実際にミサイルが飛んできたら、それを防ぐ手立てではないということですね。
笹木 ミサイルに対する防衛網、こういう技術の研究を進めるしかないんですが、必要なのは、ひとつは最低限の自衛です。国民の生命とか国土とかを守る、拉致問題もそうでしたけれども、最低限の自衛というのはやっぱりやらないとほかの国がそんなに真剣に考えてくれるかどうかってことですよね。
聞き手 そうですよね。アメリカにしてみても、自分の国と日本というのはやっぱり違った立場で考えなければいけないということですよね。
笹木 現在、対応を一国ではできる状態ではないので、最低限アメリカに助けてもらわないと成り立たない。アメリカとある程度連携しないと、日本についての何かあったときには助けてもらえない。ここら辺が悩ましいんですけれども。よくスイスはそういう軍事同盟を一つも結んでいない国だ、永世中立だと昔から習いましたが、その代わりスイスというのは、もし攻められたりしたら、徴兵制どころではないんです。国民皆兵なんです。全員兵隊になるわけです。軍事同盟を結ばないということは、一方でそれぐらいシビアに自分達で守らないといけない。そういうことをもう一回、ちゃんと自衛ということについて考える。そして、アメリカと軍事同盟を結んでいるわけですから、どこまでやるかということを考える。これは今最低限やらなければいけないことです。
聞き手 なるほど。イラクの空爆がもう年明けすぐにでもと囁かれているなか、アメリカは21世紀は戦争の世紀と位置付けるのかな、という予感もしてきました。日本の国のことというのをやっぱりちゃんと考えなければ、あんまり平和にボケてもいられませんよね。
笹木 そうですね。でも一方でアメリカと最低付き合って、しかしどこまで付き合いきれるのかという問題もありますので、そこら辺はまた次の機会にお話します。 |