毎週ラジオ出演中

聞き手  世界中の情勢を見ているとキナ臭い所もあちこちにありますね。


イラクへの盗聴、盗撮

笹木  昨日とか今日の新聞にかなり出ていますが、イラク攻撃を最終的に他の国に説得するためにということで、パウエルさんとアメリカのCIA長官がこういう情報があるんだということで、例えばイラクが破壊兵器を隠すために移動させたとかいろいろなことを報告しています。これはテレビや新聞を読んだりするとわかりますけれども、全部、いわゆる情報戦というか盗聴であったり、諜報であったりするわけです。これを今、アメリカとイラクがこのギリギリの場面でお互いにやりあっているということです。偵察衛星でいうとアメリカは今、地上の10cmぐらいの物でも識別できる。それぐらいの精度を持っているらしいです。今回は1mぐらいの精度の物しかあえて出していないんですけれども。盗聴の記録でも化学兵器や生物兵器を移動させていると。イラクの方も盗聴されていることを意識していますが、まったく何にも言わないわけにもいかないので。もうひとつ今サイバー戦もやっています。イラクはかなりアメリカからのメールとかが入ってこないようにしているんですが、アメリカからイラク軍の関係者や政府関係者に、「これだけアメリカの軍事力が圧倒的に優位だ」というような情報をいっぱい流しているわけです。イラクの方も国連の査察官、今100人ちょっとイラクに入っているわけですが、そういう人に対しても完全に盗聴や傍受、盗撮、これをやっています。その100人に対して2万人の体制でイラクは盗聴、盗撮、あるいは尾行をやっているらしいです。このぐらいの情報戦が今実際にアメリカとイラクの間で行われているわけです。こういう盗聴とか諜報がどれぐらい以前からされているかということですが、19世紀の終わり頃にはイギリスが圧倒していたらしいです。暗号の解読ですとか、こういう盗聴、諜報について。

聞き手  われわれの記憶にあるのは007ですね。ジェームス・ボンド、イギリスのスパイ活動が題材になった映画ですね。


日本にも傍受のための基地

笹木  そうですね。あれです。ずっとイギリスが圧倒していたのが途中からアメリカの力がどんどん強くなって、第2次大戦直前、1940年ぐらいからアメリカとイギリスはこの暗号解読や盗聴ということで完全に手を握ったんです。まず2つの国が手を握って、大戦が終わって47年ぐらいからは、よくアングロサクソンといいますけれども、アメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド、この5カ国は、東西冷戦の時代、あくまでも東と西の対立の中で相手の情報をとる、あるいは安全保障の為にいろいろな危険を事前に察知するという名目で情報を完全に共有化しあう体制になったわけですね。

聞き手  北米大陸とオセアニア、それからヨーロッパということになると、もう地球じゅう網で囲っているようなもんですよね。

笹木  しかも日本にも基地はある。日本でいうと三沢基地です。いわゆるアメリカの米軍基地があるわけですが、しかしそれは日本に「傍受のためのこういう中継基地を造るよ」といって置いているわけではなくて、99%間違いないだろうといわれている、その盗聴のための機器が14基置いてあるわけです。こういうのは世界中にあるということなんです。例えば今普及している携帯。福井にも中継アンテナが有ります。その近くにそういった専門の人が行けばかなり盗聴できます。あるいは鳴尾さんが携帯で話している内容を盗聴しようと思ったら、比較的近くの距離にいて狙えば確実にやれるわけです。企業の場合でもテレビ電話、これは映像ですから衛星通信を使っています。海底ケーブルを使っている通信というのは比較的やりにくいんですが、衛星通信でしたら100%盗聴できる。ということでテレビ電話、あるいはデータ通信、これはものすごくきれいに盗聴できるわけです。また、電子メール。これは相手に直接行くわけではなくて、中継しているところがあるわけです。


盗聴されない「傾向と対策」

暗号化されていない電子メールは封筒のない手紙と同じだと言われているんですね。その情報は巨大なコンピュータで解析しています。どれくらいの処理速度かというと、毎分300万の通信を処理できる。スパイという言葉や、武器の名前、人の名前、組織の名前、爆発とかそういう名詞、そういうキーワードを決めておいて、それでいくつか重なってきたらこの人物は怪しいとか、この通信はずっとこれからも追うとか、コンピュータが自動的に毎分300万の情報を処理できる。そういう体制を作っているわけです。

聞き手  テロリスト同士の通信ではないかと疑われるような単語がいくつか重なって出てきたら、もうマークされてしまうんですね。

笹木  コンピュータで特定できるということですね。まあ、これは傾向と対策ですけれども、避けようと思ったらひとつは手書きのFAX。もちろんこの人と特定して追っていればできますけれども、コンピュータで自動的に処理するところから逃れようと思う場合には手書きのFAXはやっぱりやりにくいんですね。もうひとつは、さっき携帯は盗聴できるといいましたが、これも特定化して追わないといけないので、音声は比較的できない。もっといえば方言をいっぱい使っているとさらにコンピュータで非常にやりにくくなる。

聞き手  福井弁なんかはいいのかもしれないですね。


産業情報、企業情報も

笹木  そうですね。そういう状況でずっとやってきたわけですが、もっと問題なのは、これは東西冷戦があって安全保障、防衛のためにやっていたわけですけれども、それがいつもいうように1989年からソ連との対立がなくなりました。ちょうどその時期、日本はバブルでアメリカのロックフェラーセンタービルも買ったということで、アメリカのCIAとかがやっていたこの活動の4割のエネルギー、スタッフも含めて、経済戦争に振り向けられるように大きく変更したということなんです。防衛情報ではない、経済情報、産業情報。これを盗聴する、盗撮する、あるいは傍受するということにこの機関が使われる。エシュロンというんですけれども、さっきいった5カ国のプロジェクト、このエネルギーの4割が経済戦争に、だから自動車摩擦の時には橋龍さんとTOYOTAの通信は盗聴されていた。

聞き手  ということは、先程の話にありましたが、テレビ電話を使って会議を行うというようなことが日本の本社とアメリカの支社の間で行われれば、向こうの相手方のライバル企業に筒抜けになっているような可能性もあるわけですよね。

笹木  そうですね。一応、一つの企業のためにやってはいけないという縛りはあるんですが、もうどこまでが駄目でどこまでがいいという境界はきめられないですよね。細川政権の時もクリントンさんとの会談の事前にされた。少し前にお話ししましたアジアの通貨危機が97年に起こりました。この時も事前にどう通貨危機を起こすかということで盗聴システムが使われたという話もあるんです。この国と国との経済戦争に使われるようになった。もっと深刻なのが、今はもう個別の企業に対してもかなりやられている。あるいはプライバシーに関わる個人の情報についてもやられている。ヨーロッパでもEUが2001年に、まあ簡単に言うと「ふざけるな」と。「勝手にやるな」「許可してないよ」と。防衛関係でしたらまだお互いに仕方がないというところあるんですけれども、そんな一企業の、まあ産業スパイと同じようなことを国家がやっている。イギリスはEUにも入っているし、エシュロンというアメリカと5カ国の中にも入っているわけです。さっき言った経済戦争ということでは、90年代からアメリカの標的はフランスと日本です。それでフランスとかドイツ、特にフランスがイギリスに「EUに入っているんだからこんなことに協力するな」ということをいいながら報告書を出したんです。このエシュロン計画に関わっていた元スタッフだった方がこういうことがあったという話もしまして、分厚い報告書を出して、ここでもう産業スパイみたいなことを国がやっている。プライバシーの侵害にもなっている。これはちょっと古いですがジョン・レノンやマザーテレサ、確たる証拠はないですけれどもあの時代から個人情報、プライバシーに関わることも調べていた。最近でいうとダイアナさんとかローマ法王、この情報もやっているということなんですね。一般の方にもかなりやっているだろうということです。

聞き手  影響力のある人、この人がひょっとしたら何らかの運動を先導するのではないかという、考えてみれば濡れ衣ですよね、日本語でいうところの。そういった人たちの情報もすべて丸裸にしてしまうとは恐ろしい話ですよね。

笹木  結局こういうことに対して、ヨーロッパではこれからEU共通のどうやって防ぐかというような方法と協定を結ぼうという動きが出ています。個人としても企業としてもなるべく暗号化しろよと。暗号化していても狙ったら徹底的に暗号も解読しますから限界はあるんですが、そういう対策を取ろうと。日本の場合にはヨーロッパに比べてもまったく丸裸に近い状態です。ですから今戦争、イラクとアメリカの戦争の話がありますけれども、その前提でいろいろな情報の情報戦争といわれているようなことがおこっている。それに対してどうプライバシーを保護するかとか情報を保護するかという体制が全く取られていない。今日はちょっと気持ちの悪い話です。

聞き手  なるほど。日本は本当に無防備に近いんでしょうね。今のお話によると19世紀から始まっている情報戦だそうですけれども、19世紀にも追いつけないくらいレベルなのかなと思うとちょっと空恐ろしくもあります。しかし実際には世界はそこまでいっている、ということを少し頭の片隅に置かれていたほうがこれから先いいかもしれませんね。

笹木  そうですね。情報化社会の影の部分です。これも意識しないといけないということでしょうね。

(文責:ささき竜三事務所)