聞き手 色々とこれまで年金のお話なども伺ってきたんですが、それにしてもお金の動き方がこんなに見えにくい国は他にないのではないかと思う時があります。
笹木 先週、先々週も話題になっていましたが、要は年金が破綻しているとよくいわれているわけですけれども、以前、特に先週ここでもお話しましたが、年金の預かっている掛け金を色々な所に預けて少しでも増やそうと、運用と言いますけれども、そのはずが実際には1兆円ぐらい穴をあけていた。要は失敗して減らしていた。それで誰も責任を取らない。これが話題になっていました。こういう運用で失敗する、預けた先が結果的に減らしているという問題もあるんですがお金の流れということでいいますと、昔、年金福祉事業団という特殊法人がありました。今は名前が変わっていますが、やはり似たようなところがあって年金を預かっている。殆どの年金の掛け金をかけている人にとってはちゃんと掛けていた分、あるいはそれ以上もらえるのかということが一番の関心だし、心配でもあるわけですけれども、ここは全く関係がないような施設、よく話題にもなりますが、グリーンピアという施設、結構辺鄙な所にすごく豪華な施設を造って、年金をもらっているような方がリゾートというか保養できるような施設なんですけれども、実際にはサービスもあまりよくないし、人もあまりこないし、毎月赤字も出している。そういう所の赤字にもたくさん年金の積立金がつぎ込まれている。何故年金がこれから厳しくなるといわれているのにそういう施設がなくならないのか。何故そんな物を造って相変わらずお金を垂れ流しているのか、今日はそういう話です。
聞き手 不思議な話ですよね。我々も毎月積み立てていて、これは何の為かというと老後、60歳になったらと思っていたのがいつのまにか65歳になっていたりとかするわけなんですけれども。
笹木 結局そういう施設を何故造るのかというと、施設を造ってサービスすることが目的ではなくて、簡単にいってしまうとその施設を造って、よく天下りといわれますが、役所のOBの方がそこに理事とかで入っていく。第2の就職先ですね。第2の就職先を作る為に年金の積立金を積み立てている一人一人にとってはあまり関係のない、必要ない施設を造る。そういう構造なんです。これはもう再三よくいわれる訳ですが、例えば53歳とか54歳で中央のお役所を辞める。その後年金関係でもいいし、道路関係でもいいんですが特殊法人という所に天下ると。だいたいこれが年収2000万円ぐらいです。そんなに朝から晩まで働くような仕事ではないんですが。それで4年間ぐらい勤めた、その4年間だけに対する退職金がだいたい平均で3000万ぐらいになるというんですね。
聞き手 今これだけ失業率が高くなっているという世の中で、次の就職先も決めてもらって。年収2000万といったら月に100万円どころの話ではないですよね。
笹木 150万円とかそれぐらいですね。それ以外で4年間の働きだけに対して3000万円の退職金が出る。
聞き手 その前に中央省庁をお辞めになった時にも退職金をもらっているわけですよね。
笹木 もちろんそうです。5000万円であったり、6000万円であったり、7000万円であったり。しかもこれは個人的に行くわけではなく、役所が斡旋するわけです。組織的に、例えばこの省だったらこの省関係の特殊法人に、旧建設省だったらこちら、旧厚生省だったらこちらというようにそれぞれ役所関係のところに役所が斡旋する。これが1ヶ所で終わらずに天下りを渡るから渡り鳥というわけです。1ヶ所目で4年間ぐらい、2箇所目で3〜4年やってまた同じような報酬をもらう。これを平均3ヶ所ぐらいやるわけです。これを渡りというんです。まあ3箇所が平均ですが、すごい場合は80歳代終わりまでそういった関係のところを渡り歩いている。だから、要は第2第3の就職口を作る為にそういうものをいっぱい造っているという面も非常に強くなっているわけです。もうひとつさらに公益法人というのがありまして、これは財団法人とか社団法人で役所との関係が強いような団体をいうんですが、こちらにも今いった天下りがさらに行くわけです。国の役所が管轄している財団法人とか社団法人は7000くらいあるといわれますが、そこに国家公務員出身の理事というのは6000人以上いる。平均しますとそれぞれひとつに1人ぐらいずつ天下っているということなわけです。天下りということだけではなく、もうひとつ根が深いのは、道路公団の改革を小泉さんが色々やろうとして話題になっていますが、この道路公団でいいますと特殊法人そのものは子会社を作ることができないということを一応規制で決めているんです。けれども社団法人や財団法人、この場合ですと道路公団関係で道路施設協会という財団法人が別にあるわけです。このこちらの財団がたくさん子会社、ファミリー企業というのを作る。70社ぐらいあるといわれています。サービスエリアでのことをやるとかパーキングエリアで料金徴収のサービスをやる、あるいは保険とか点検とかパトロールのサービスをやるとかいろいろなそういう子会社をいっぱい道路施設協会が作るわけです。70あるわけですね。そこに全部さっき言った特殊法人の関係から、道路公団からの役人がまたその子会社に天下っていくという構造なわけです。だから特殊法人、ファミリー企業、公益法人ここをぐるぐる回っているわけです。
聞き手 つまりはたくさん作れば作るほど都合がいいわけですよね。
笹木 何回も廻れますからね。
聞き手 ということですよね。いろいろな人があっち来たりこっち来たり。
笹木 しかも問題は本体がかなり赤字であっても、子会社にたくさん、特殊法人から回りまわって、いくつか経由してお金が入ってくる。そのお金を溜め込んでいたりする。本体は赤字だが子会社のレベルではお金を溜め込んだりしている。こういうことがあるわけです。それがどういうふうに使われているかも全く分からない。こういうことで先程お金が非常に見えにくいという話がありましたが、そういうことをずっと続けているわけです。それが余りにひどいので、小泉さんになってからそれを変えようと特殊法人改革というのを始めたわけです。どこまで進んでいるかというと、なるべく廃止するやつ、民営化するやつ、そしてもうひとつ、民間と役所の中間みたいな独立行政法人、というのにその組織に変えようとしているわけですけれども、これがなかなか難しくて、来年の7月までに今いった特殊法人で独立行政法人になるのが40ぐらいあって、今すでにもう準備していて入れ替わったりしているのもあるわけですが、実際にその独立行政法人になって役員の数というのは以前より300人くらい増えているわけです。
聞き手 何故ですか、それは。
笹木 独立行政法人にすると、これは民間との中間で3年から5年で色々どういう事業をやるかを決めて3年から5年経ってみてあまり役割を果たしてなければ廃止もありうるということで改革にするんだといったわけですが、なんだかんだやっていくうちに役員数はいつのまにか増やしていた。
聞き手 役員数が増えるということは、それだけ給料を払わなければいけない人が増えているということでしょう。
笹木 役員だけでなく職員数も結局1000人ぐらい増えている。さらにこの3年から5年での評価というのも、いろいろ議論はあったんですけれども最終的にはそれぞれの役所内での内部評価、身内での評価に終わりそうになっているということなんです。なかなかこう切り込もうとしても手を変え品を変え生き残るとずっといわれてきているわけですが、こういう状態になっている。天下りについても、天下りをOKとするかどうかという承認を内閣全体ではなくて一つの役所の中でだけでしようと決まりかけたわけです。これはあんまりひどいからということで、最後に、今日の新聞に出ていますが、総理大臣も含めて内閣全体で承認するようにしようというふうに、ようやくこれでブレーキをかけているわけです。要はいろいろごまかそうごまかそうとするわけです。今そういうせめぎあいをやっているということです。道路公団はなるべく切り込もうとまだやり取りが続いています。たださっき言った年金を預かっているその団体については改革というのは先送りになっています。こういったやり取りがずっと続いているわけですが、では何をしたらいいのか。ひとつは、一応中央省庁の官僚は2年間民間に直接天下りをしてはいけないということになっているんですけれどもが、直接できないから途中に特殊法人や公益法人を経由して、その後民間に天下りをするわけです2年間は民間への直接の天下りを禁止しているということがあるので、2年間は辞めた後どこに行くかというのは分かるようになっているわけです。しかしその2年以上、3年後4年後どこへ行ったかというのはよっぽどマニアチックに、例えばフリーのジャーナリストが調べるとかそういうことをしないと公開はしなくていいということになっている。しかし3箇所4箇所、ひどい場合だと70代80代までずっとこう廻っている人がいるわけですから、やはり20年とか30年、元官庁の方はその後どこに移ったかということは公開の義務をどうしても課す、これが必要だという気がするんです。もうひとつは、さっき言ったようにだいたい54歳ぐらいが平均なんですね。54歳で退職する、これがやはりちょっと早すぎるのではないかということです。だからそれをもう少し目一杯働いてもらって、辞めてから税金とか国民の金を食う、という発想は止めてもらう。もう現役で目一杯働いてもらう。年数を長くしようという方向にすべきだと思うわけです。これはようやく5年6年7年ぐらいかけて、今から3歳ぐらいは中央の役所の中でちゃんと勤め果たしてもらおうという方向にはなっています。もちろんさっき言った独立行政法人とか特殊法人で民間の人をトップにすればこういう色々なごまかしがもう少しなくなるのではないかと思うわけです。各団体のトップが民間人になれば摩擦がおきてきて、天下りを抜本的に入れないとかそういうことが議論になって、外にも情報が出てくると思うんです。全部それを役所の者で固めているからなかなか情報も外の方に出てこないということだと思うんですけれども。
聞き手 特殊法人に対する天下りもそうですが、それ以降の民間への天下りという部分でも何故天下りの方を受け入れなくてはいけないのかということに関しても、やはり断りづらい状況が何かあるということなんですよね。
笹木 これは結局、何故特殊法人とか廻りまわったような構造ができているかというと、戦後間もないころというのはあまり民間にお金がなかったわけです。会社にもあまりなかった。その時に年金の積立金とかいろいろなものを集めた金をドンと国がここに使おうと、例えば住宅を造ることに使おう、道路を造るときに使おう、あるいはこの産業を育てようとか。この時には特殊法人がある程度の役割を果たしました。しかし今はもう国がだんだんお金がそんなに無くなってきて、民間がどんどんさらに強くなって伸ばしていかないといけない。そういうふうに時代は変わっているんですけれども、相変わらず特殊法人とか役所とかから仕事や補助金をもらうことばかりを考えている。地方の陳情にもこの特殊法人を続けさせてくれというような陳情が入っていたりする。なぜかと調べると役所の方から誘導してこの特殊法人を無くさないように陳情しろ、要望しろと指導しているわけです。これに付き合わないと他の予算を削られるからということで全部付き合う。地方によっては本当に必要でないことでも。一言でいうと、開発途上段階、開発途上国型お金の流れ、人の流れ、命令に従うという流れ。民間の業界団体を含めてそういう構造が有るということなんです。ついでにいいますと、公益法人やファミリー企業の中でお金を溜め込んでいる、これを役所自身の人が選挙に出るときに選挙費用に使ったり、あるいは政治献金に使ったりもするわけです。
聞き手 なるほど。先だって福井の企業でも熊谷組が会社の状況が大変なのに政治献金をしているなんて事があっていいのかと株主の方から訴訟を起こされて一部敗訴しました・・・・・・
笹木 民間がその発想を変えない限り、今言ったような、官にぶら下がる、お上にぶら下がる、税金にぶら下がると。しかし国全体としては年金全体としてもパンクすると。この悪循環ですよね。
聞き手 そうですね。我々心の中では日本というのは先進国なのだと。経済大国なのであると。世界で第2位なんだというふうなこと植え付けられてはいてはいたんですが、こうやって開発途上型のいまだにお金の流れが断ち切れないというとちょっとショックも受けますよね。
笹木 近いうちに統一地方選挙がありますが、ちょっと前ぐらいまでは今いったような団体の中でのお金が統一地方選挙にも使われていたといわれますから、とにかくこういうのをいかに断ち切っていくかですよね。
聞き手 そうですね。これはもう我々一般の意識も大切だということでもあるんでしょうけれども、統一地方選挙だけではなくて国政も含めてですが、いろいろと選挙に出てこられる方がこれに関してどんなことをおっしゃっているかということにも耳を傾けるのも大事なことなんでしょうね。小泉さんをもってしてもなかなか進まない、進むどころかというところもチラッとこう見え隠れしたりもしますよね。
笹木 もっともっと切り込まないとだんだん占められてきているという感じですよね、反対勢力に。
聞き手 そうですね。反対勢力というのも何に反対しているんだろう、国民の方を向いてくれているのかなという気がするんですよね。
笹木 今の構造の中に入っているということですよね。