財政不安、福井県も・・・
聞き手 この春はまた少し賑やかになりそうだなと。
笹木 統一地方選挙ですよね。
聞き手 選挙カーも走るからという賑やかさもありますが、今特にそれぞれの自治体にとって首長がどうなるかということは本当に大切な時期ですね。しかも今回は栗田幸雄さんがもう出ませんということで新しい知事が生まれる。市議会議員も県議会議員ももちろんですけれども。
笹木 11の都、県、道で知事選があって、44の都府県で県議選、それ以外の市町村でもあるということで、統一地方選挙。この番組で何度もお話しましたけれども、すごく時代が大きく変わってきていて、昔みたいに、税金での収入が増えている状況では全然無いわけです。どこも財政は厳しい。国も厳しいけれども地方も厳しい。まずはとにかくやっぱり投票には行くこと。これをまず言いたいですね。というのは、今いろいろな方と話をしていますと、もう一般の政治に対して、地方に対しても国に対しても、「期待しない」「誰がやっても同じであきらめている」ということを特に20代の男性の方が言われることが多いんですよ。しかし例えば30年とか40年とかして子供さんお孫さんに「日本もこの地方も、昔はすごく豊かだったんだよね?」「世界第2の経済繁栄の国だったらしいね」。このままずっと続く保証は無いわけです。例えば南米のアルゼンチンは昔は南米で最も豊かな国だといわれていましたが、今は完全に崩壊して、経済も財政も破綻して非常に没落した国になっています。日本もそうならない保証はないし、福井県もそうならない保証は無いわけです。ですから将来子供とか孫から聞かれたときに「いやあお爺さんは、お父さんはあきらめていたんだよ」と。「誰にも期待しなかったから」と。「いや、お爺さんお父さんは何をやったの」と聞かれるわけですから。どれだけ時代が変わっているかということですけれども、例えばこの福井県の財政でいいますと、一般財政があって、その中で蓄えをするわけです。貯金ですよね、簡単にいうと。基金というんですけれども。平成4年には740億円あって、平成13年、最近ですけれども、それがもう450億円に減っているわけです。しかもあとしばらく、平成16年末ぐらいにはこれがさらに1/3に減って120億円くらいになるわけです。
聞き手 急激な減り方じゃないですか。
笹木 要はどんどん蓄えが減っているということです。仮にこのスピードでどんどん減っていったら、もう蓄えは無くなってゼロになって、さらに赤字になっていく。
聞き手 国でも県でも一般のご家庭でもそうですが、例えば家を建てて住宅ローンという借金もあるけれども貯金も一応何かのためにしている、というのが当たり前ですよね。福井県だって借金が多少あったとしても、貯金もあってしかるべきです。貯金がこんな勢いで減っているわけですね。
笹木 これがこのスピードでゼロになっていくということですよね。さらに赤字が上回って一般財源の5%ぐらいになると、建設とかいろいろな公共事業をやる時に自由に起債、いわば借金をその自治体ができなくなる。このスピードでそうなる可能性も数年以内にあるということなんです。
聞き手 一般のご家庭でも家を建てたりして銀行にお金を貸してもらうということがある時には「土地をお持ちですか」とか「貯金はどのくらい持っていますか」ってやっぱり聞かれるわけですよね。それが無いということになると借りられない。
笹木 そうなる可能性もあるので、福井県も非常に深刻だし、各市町村も深刻です。ですから今は、選挙にあたって選ぶ視点が非常に大事になっているわけです。
聞き手 いったい誰に一票を投ずるか。基準の持ち方も分からないところがあります。その一つの参考にしていただこうということですね。
投票のための傾向と対策
その1.税のムダ遣いに切り込めるか
笹木 そうです。一つ目のポイントは、ただ「これやります」「あれやります」「これを造ります」「こういう予算ぶんどってきます」って、これはそんなにできることじゃないんです。それよりも大事なのは、限られた予算をどれだけ活用するか、有効に使うかです。例えば具体的な例で、もうすでに決まった計画、福井県でもいっぱいありますよね。35年前に決まった計画、40年前に決まった計画。しかし今の時代に合わなくなっているのをしっかり見直す感覚があるかどうか。もうひとつは今工事をやっていますが、例えば福井市の駐車場があってそう満杯なわけじゃない。でも今度県の駐車場が地下にできる。じゃあこれ莫大なお金使ってまた造るけれども、造った後でどれだけ効果があるか、それでどれだけ人が街中にきたか。こういう予算を使ったことに対してちゃんと評価をする。これが失敗だったとしたらどうするんだと。これをまた違うことに使うのかと。そういう見直しをちゃんとやる。計画も見直しする。造ったものについてもちゃんと見直しをする。終わったあとの決算です。そういう感覚を持っているか。これがひとつ目だと思うんですね。
その2.知恵、アイディア
ふたつ目は、非常に財政が厳しいということでこれも出てくるわけですけれども、民間の知恵をいかに使うか。いかに地方独自のいい計画を作るかということです。この番組でもちょっとお話しましたが、福井県を東京で宣伝しようということで青山に造った施設、あれは普通に行政が造っていたら10億円以上かかっているわけです。民間に代わりに造ってもらってそこに県が店子として入るという形で、1/10のお金で済ましてやったわけです。このように民間の知恵を使う。街づくりでもNPOとか民間の知恵を使う。一般市民の知恵を受けとめて、それを例えば市でも県でも独自のアイディアにつなげていく。こういう発想を持った人かどうか。これがふたつ目ですよね。例えば、今度新しい大きい図書館ができました。古い図書館が日之出の方、駅東の方にありますよね。このもう使われなくなった県立図書館が何に使われるか。埋蔵文化財調査センター。要は工事するときに発掘して、昔のいろいろな遺跡とかそういうものがあると。これは大事な作業ですけれども、その調査センターをあの県立図書館の後に入れるということです。でもこれは普通あんな広い場所は必要ないですよね。要はアイディアが無いんです。だからせっかく空いたその場所を何に使うというアイディアが、結局議会とか県の方から出てきていない。だからまあとりあえずここに入れようということなんです。
聞き手 こういうと申し訳ないですけれども、駅前でその地下駐車場を造るという時に不思議な光景を見ます。一回掘り返して、また埋め直して、もう一回同じ所を掘り返す。何でそんなことをしているんですかというと、ここは昔はお城のあったお堀の内側の部分だから何が出てくるか分からない。文化財が出てきたり、茶碗のかけらが出てきたりする。だからまずその文化的なことを調べるために掘るんですと。それで掘ったら今度埋めなおして、今度また本格的な工事を始めるというふうに見えて仕方がないんですね。その発想に似たようなことはあちこちに見られますよね。
笹木 そうですね。ここら辺が知恵がないんですね。これから市町村合併もある。財源もなるべく分権で、地方が自分で決めて使える分増やそうという、これは今のところ建前で、実際は中央から出す、国から出すお金をどんどん減らしていく。で、合併の中で首長の権限が強くなる。議会も自分たちの知恵が問われる。これはいいことなんです。県とか市の職員の方と話していると、これは絶対歓迎だし、実際国がいろいろ偉そうなこと言っても、町とか村とか市で成功した事例を全国でこれからこれをやってくださいという。だいたい成功例は町とか村とか県とか市から出てくるんだと。だからこういうものをこれからどんどん増やしていこうと。まあそれで知恵ですよね。介護でももう市町村が計画を立てられます。県もそれを調整していく。だから福井独自のいろいろな、街造りでも福祉関係でも介護でも、福井独自の魅力のある計画を作っていく。これが問われている。そういう感覚のある方かどうか、これがふたつ目です。
その3.利権に汚染されていないか
三つ目は、今までと違った計画を作るとか、知恵を出す。これは今までの、よくいわれる利権というか、そういうものに染まっている人だとどうしてもやれないです。古い構造を壊せないわけですから。一昨年、福井市の職員で、幹部の方が二人続けて自殺されるという事件もありました。これはもう非常に恥ずかしいような利権の圧力でその二人の方が亡くなったわけです。こういうのはおそらく各地域で、自分の地域から出ている方、議員の場合ですけれども、いろいろな噂を聞いていると思うんです。地元の方は特にね。まあ普通選挙になると地元出身だから入れるという動きが非常に盛んになるんですが、地元の方は悪い噂もいい噂も含めて聞いているはずですから、こういう古い利権に染まったこういう人は地元でも入れないと。こういう厳しい目を持ってほしい。これが三つ目。
聞き手 地元から一人出ていれば、家の前の溝にひょっとしたら蓋がかかるかもしれないとかいろいろこれまであったかもしれませんね。まあそんなことをちゃんと払拭できるかどうか。これは勇気が必要ですね。
笹木 もうひとつ、さらにこれから地方の魅力ということを考えると、地方でどれだけ独自の魅力のある教育に変えるかということがあります。この福井でも来年の4月からは高校の学区制が廃止されて、それぞれの学校の特徴が問われるといっているわけですが、じゃあ福井県として、あるいは各市町村でどれだけ真似事じゃない独自のいい教育を促していけるか。これも首長とか議員にもこの感覚が絶対問われる。日本は地方も国も資源がなくて人しかいないわけですから、これが問われると思いますね。以上、いくつかのポイントがあります。
永田町の外からの挑戦
さて、今度の統一地方選挙に向けて2つ全国的な運動が起こるんですね。ひとつは今2期目の三重県の北川知事。この方は3期目はもう出ずに、地方で、三重県で実績は非常に上げたわけですが、頑張れば頑張るほどやっぱり日本全体の政治がもっともっと変わらないと地方だけではよくなれない、ということでマニフェスト運動というのを起こす。これは簡単にいうと選挙のときの公約で「あれをやります」「これをやります」と夢みたいなことを、それこそ心地いい言葉だけ並べるのではなくて、それを何年でやるのかということと、それを実現するためにどれだけのお金がかかると思っているのか。それを示してちゃんと政策を出せという運動です。こういう方向でやった方には推薦をしたいということですね。これがひとつ。もうひとつは経営者ですが、京セラの稲盛さんという方が音頭をとっていますけれども、日本政策フロンティアという運動。選挙資金の全面公開です。どっから入ったか、どれだけ使ったか。これをなるべく細かく発表する。それともうひとつは極力団体ではなくてボランティア選挙をやる。これらは私も平成元年からやってますが。それは雰囲気として伝わりますから。そういう方をなるべく推薦したい。これは地方議員とか首長を含めて推薦したい、賛同議員にしたい。この運動もあります。この北川さんの運動も稲盛さんの運動も共通して、首長の場合には3期までにする、4期以上はやらない。これも公約してくれというのも添えてやっています。これは全国的な、もうとにかく地方ももっと変わらないといけない、首長も議員も変わらないといけないということで、おそらく3月の末ぐらいからは全国的に各都道府県に働きかけてくると思うわけです。最後にぜひ皆さんに憶えておいてほしいのは、候補者というのは、これが知事選であろうと市長であろうと議員であろうと、選挙が近づいてくるといろいろな人に少しでも会って、自分のことを、支援を訴えたいわけです。だから例えば50人でもいいんです。30人でもいいでしょう。自分達の会は熱心にいろいろなことを考えて選びたいと思っている。だからそれぞれ、候補者の政策を訴える場を作るから来てくれと。候補者から頼まれて動員集会に行くのではなくて、できれば複数呼ぶのがいいですよね。あの人達いいかなというのを3人4人、まあ知事選であれば出ている人も3人しかいませんけれども。議員の場合でも関心のある方数人呼んで比べる。30人ぐらいであれば、まあ来ると思うんですね。
聞き手 そこまで関心持てればいいですよね。ご近所の奥様方が「今度誰入れるの」と。「この人かこの人」「じゃあ二人呼んで話聞きましょうよ」なんて動きがあればいいんだろうなと思いますね。
笹木 みんなに会って、みんなに訴えたいわけですから、結構応じると思うんですよね。そういうことをやって選ぶ。もうひとつはホームページが、例えば福井の市会はかなり充実していますけれども映像は入っていないんですね。文字でずっと文章が入っているだけです。県のホームページも議会のもまだないのです。これもし現職の全議員、映像で全部あったらすごく個性も分かるのですが、今はそうなっていません。ラジオとかテレビがなるべく本選中の報道を増やすと選挙ももっともっと変わるな、そんな気もします。
聞き手 統一地方選挙のほうは4月に告示されて投開票ということになってきますけれども、今からそれが4月にあるというふうなことをまず憶えておいていただいて投票に行く。選ぶ基準を個人個人でお持ちになること。大切ですよね。確かに公共事業というのもちょっと見直さなくてはといわれるのも分かるし、じゃあ金沢で新幹線止まっていいのといわれるとうーんと思う。やっぱりテーマをもって考えないといけないということなんでしょうね。
笹木 できれば候補者に自分の方から色々聞いてみるのもいいかもしれませんね。