毎週ラジオ出演中


「願い」だけの、お上意識。

笹木  教育関係の専門家で、教育の分野で知っている人は知っている、そういう方と話をしていまして、音楽家の坂本龍一さんも加わって、地雷をこの世の中からなくそうという、戦争が終わっても地雷が残っていて、それで足を無くすとか、亡くなるとかいろいろなことが続いていますから、その地雷廃止の運動というのをやるべきだと。その方がその映像を流して、坂本龍一の音楽を流す。これはテレビの番組にもなったらしいんですが、それに関わって非常に衝撃を受けたというか考えさせられたとその教育の専門家が言っているんです。それは何かというと、子供たちに全部見せて、感想を聞いたらしいんです。世界中の、日本の子供もいる、アジアの子供もいる、欧米の子供もいるということで。感想を聞きましたら、アジアですとか欧米の子供はすごくこの映像と音楽で感動して、自分としては、例えば「夏休みにそういう地雷撤去の手伝い、やれることをやりに行きたい」というような感想ですとか、あるいは「お金を集めているみたいだからそこに献金をしたい」とかいろいろな意見が出るらしいんです。その中で日本の子供、小学生ですけれども、「この世の中から地雷が無くなるといい」とか、あるいは「地雷を仕掛けるようなそんな行為がなくなるといい」とか、希望というかお願いでとどまっている。具体的に自分が何をやるか、そういう意見が日本の子供はほとんどゼロだったらしいんですね。たまたまそこにいた子供ですけれども。これにこの教育関係者がすごく衝撃を受けまして、やっぱり日本というのは民主主義とはいうけれどお上意識がどこか抜けていなくて、誰か自分以外の人がそれはやってくれる。そういうことがやっぱり残っているのかなと。社会化というか社会の中で自分達が何か創っていく仕組みを作っていく、そういうことをもっと教育の中でやらないといけないなと、その人が実感で、反省を込めて言っていたんですね。

聞き手  これをやりなさいといわれると出来る子供は多いんですが、自分から進んで仕事を探すことも苦手なのかもしれないですね。


不登校14万人、引きこもり100万人

笹木  そうですね。そこから話が及びまして、最近よく話題になる不登校の問題ですとかあるいは引きこもりの問題です。今、小学校・中学校で不登校が14万人。これは役所の発表ですから最低限の見積もりだと思うんですが、全国で不登校が14万人いる。これとは別に成人も含めた引きこもり、この引きこもりが100万人いると。これも役所発表ですから最低限です。この不登校対策で、例えば小さい頃からどうしたらいいのかという話をしていましたら、やっぱり家の中でのお手伝いをさせること、これがすごく大事だと言っていました。それと何でもお膳立てして、子供には「あなたはこれだけやればいいんだ」と、それが勉強であったりするのかもしれませんが、これが一番まずいと。ちょっと前までは学校に行かなくても、「行きたくない」というと「じゃあ行かなくてもいい」というような家庭ですとか先生もいたらしいんですが、これはやっぱり絶対駄目だと。そんなことを言っていました。


善意に経営をドッキング

そんな話をしていたんですが、それと全く対極の話なんですけれども、私がもう20年くらいお付き合いしている、この人は目が見えない50代の男性の方なんですけれども、20年前にフィリピンの飛行場でその方が大声を上げていまして、「ちょっと誰か手を貸してくれ」といっているわけです。たまたま近くにいたものですから、非常に押しの強い方で、私の手をとって、日本に着くまで一緒に付き添いを半強制的にさせられたという経験があるんです。その方は、自分は目が見えないんですけれども、カンパ、寄付を集めてフィリピンに学校を作る活動をずっとやってきた方で、それとは別に最近は車椅子を賃金の安い国で作って、その賃金の安い国では雇用を生みますよね、その車椅子を日本の施設に送るという活動を自分がやっているわけです。その方は東京に住んでいらして、私も時々、何年かに一回会うぐらいですけれども、その方と話をしていましたら、実際、最近出てきたすごく面白い動きが2つあるらしいです。ひとつは障害者の方が物、部品であったり植木鉢であったり、そういうものを作って、それを売って収入にしようというような作業所があります。こんな不景気の時代ですとなかなかかかったコストに比べて見合うような収益が得られませんし、企業からの利収もこの不景気だとどんどんなくなってしまって、もう完全に行き詰まっているらしいです。そんな状況の中でも、この障害者のいろいろなグループの方はどんなにいい施設に入っているよりも、たとえ収入がどんなに少なくても自分で働いて少しでも収入を得たい。あるいは、税金も少なくても少しでも納めたい。そういう生活をしたいんだということが、少しずつですけれども増えているらしいです。そういう訴えを聞いて、今年の後半にやるらしいんですけれども、ひとつは指導している、物を作って、あるいは作り方とか作った製品を売るということも含めて、施設でその指導をしている方が必ずしも経営のプロではないんですね。だからそういう「何を作るか」そして「作った物をどう売るか」ということをドッキングさせないといけないと。それを出来れば全国大会でいろいろな起業者と作業所を引き合わせるような大会をやろうという運動があるらしいんです。先程不登校ですとか引きこもりの話をしましたけれども、これは体は丈夫だけれども参加したくない、働きたくないという方ですね。一方では障害を持っているけれども、すごくいい施設でこれは理想だと全国的にもいわれている施設にいる方でさえ、むしろそこにいる方ほどここにいるよりは収入が少なくても働きたいという欲求がある。


動きたくない健常者、動く障害者

もうひとつは、これは今年の4月の統一地方選挙にあわせてなんですが、投票所バリアフリーチェック1万箇所運動、全国運動というのをやるらしいんです。とにかく投票に行きたい、自分では投票用紙に書くことはできないけれどもとにかく投票に行きたいという運動で、出来れば健常者のボランティアも募って、その方に代筆してもらうとかいろいろな方法も考えようと。この4月の統一地方選で1万箇所バリアフリーチェックをやる。これも確実に4月に運動をやるらしいです。一方では小学生のその社会的な感覚というのがやっぱり日本は弱いのかなあと、健常者でも参加したくない働きたくないという動きがある。一方では今いったように障害を持っている方が、非常に元気な方ですけれども、そういう実際に働きたい、あるいは参加したい、投票所にいきたいという動きがあるわけです。これを聞いていまして、すごく面白いなと思ったのは、20代の方なんかでも例えば統一地方選挙のことが話題になると「あきらめている」と。「何も期待しない」というのがすごく多いわけです。結構威張って、いいことのように言うわけですよ。「じゃあ投票に行けといってもなかなか聞いてくれないだろうから、せめてボランティア活動くらいやれよ」とか、「街づくりには関われよ」とよく言ったりするんですけれども。例えばそういう投票に行きたくない人がボランティア活動をやる。このバリアフリーチェック1万箇所投票所、この運動でボランティアでその投票したい障害者の方の手伝いをやると。そうするとその二人の間でいろいろな議論が起こりはじめて面白いかなと。そんなことを思ったりしました。

聞き手  障害を持った子供のお父さんお母さんは、もし自分たちがいなくなった後ということを考えると自分で生活できるように何でもやらせようとするらしいですね。それを考えると先程の引きこもりになる子供達というのは何もさせられずに与えられた物だけをしていく。これは全く対極にあるんでしょうね。だからこそ障害をお持ちの方は自分でやろうとする。

笹木  今の障害を持っている方の父兄という話でいいますと、やっぱり障害者でも納税する運動をやろうと。この運動も障害を持つ子供のお母さんから始まっているらしいですね。よく昔から「情けは人のためならず」、情けはその人のためではなくて、情けをかけることは自分自身に戻ってくるんだといいますけれども、結局、本当に共に生きるとかそういうことかなと思います。私なんかもさっき言った50代のフィリピンで会った方と話をしたり、あるいはちょっとでも手伝いしたりすると、自分自身のことをすごく考え直すことになるといいますか、エネルギーをもらうといいますか。ついでに言いますと、今度の出張で一昨日から2日間、朝から晩までドブ漬かりで、私は松下政経塾出身なんですが、その現役生の論文指導を丸2日間やっていたんですけれども、人のことはよく見える。みんな自分のことは一番よく分かっていると思うんですが、人を手伝ったり、あるいは教えたりしていると逆によくいろいろなことが見えてくる。人のことがよく見えて、自分自身のこともよく反省できる、客観的に。これもやっぱり情けは人のためならずなのかなと思ったりしましたね。

聞き手  人のことはよく見えるというのは2つ意味があって、よーく見えてきますよということと、人はいいなあというふうに羨ましく感じてしまってそれで終わってしまう人がいてという場合もあって、それを考えるとどちらが自分の人生にとって得なんだろうというふうにやっぱり思います。

笹木  それで結果的に自分自身もそのことでよく見えたりするんですね。この共に生きるといいますか、今いったバリアフリー1万箇所チェック、これは統一地方選挙で福井県内でも働きかけがあると思いますし、経営者と作業所を結びつける動き、これも今年中にあるみたいですからまた機会が会ったらお話したいなと、具体的にその運動の時期に報告したいなと思っています。

(文責:ささき竜三事務所)