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「アメリカ支持」は当然・容認が8割

聞き手  イラク戦争が本格化して、これで一週間になります。首都バクダッドでの市街戦へというニュースも伝わってくるんですが、これにともなうお話を今日はお願いします。

笹木  2、3日前、新聞に世論調査の結果が出ていました。日本が政府としてイラク戦争でアメリカを支持したことについての世論調査です。8割近くの人が「仕方がない」あるいは「当然だ」と、容認派が76%になっているというのがありました。89年に米ソ冷戦が終わって、アメリカにとってはもう大きな敵はいなくなったような状態で、その後湾岸戦争があって、多国籍軍とはいってもアメリカ軍を中心として攻めて、圧倒的な軍事力、軍事技術を示したわけです。そこからアメリカが有頂天になって、例えば今回も中東を作りかえる。テロの温床、イスラム原理主義の温床になっている貧困とか、そういったものを含めて民主主義と自由のために、中東を、イラクを作り変えると。ちょっと乗りすぎじゃないか、色々な人がそういう心配をしているんだという話をしました。おそらく世論としても、一般の普通の方々もそういうことを感じていると思うんですよね。しかし8割近くは「仕方がない」「当然だ」ということで、これは結局日本の近い国、北朝鮮で同じように独裁国家が大量破壊兵器を持ったらどうするかと心配して容認が8割近くということだと思うんです。しかしここで注意しなければいけないのは、アメリカなしではなかなかやっていけない、北朝鮮の危機に対しても。それは事実なんですが、じゃあアメリカを支持してアメリカとやっていけば本当に安心かといえば、やっぱりそう甘くは無いんだと。ひとつはアメリカ、イギリスに次いで3番目の敵だとイラクが言っているわけですし、日本の横須賀の基地を出ているキティホーク、アメリカの空母、これがイラクに行っているわけですから、単に支持するということだけではなくて、実際日本の基地からイラクを攻める軍艦が出ている。ですから当然報復のテロの可能性はかなりあるわけです。

聞き手  アメリカという国に関していえば、ニュースを見ていてもテロリズムということに関して非常に敏感です。日本人というのはテロに関してそんなに敏感であるようには思えない。実際国内で松本サリン事件、地下鉄サリン事件というテロが起きている国ですけれども、なかなかそういったことに敏感になれない国民性がありますよね。


北朝鮮危機。「アメリカのお好きなように」ですむのか。

笹木  外国からのテロが比較的少なかったということもあるんでしょうね。しかしこれからその可能性が高まるということもあるし、拉致の事件をめぐっては、無断で日本に侵入して人を連れて行っているわけですから。この福井県でも原発なんかの警護はかなり昔に比べると厳しくなっているといいます。でもそういったテロに対する情報を集めるとか、あるいは他の情報を集めるのに強い国と連携して情報を分析するとかそういうことはまだ殆どされていない。だからこれをまずやらないといけないというのが当然あると思うんです。もう1つ怖いのはこの北朝鮮の危険が高まっている。一昨日もアメリカのそういう専門の政府の人が、北朝鮮がノドンミサイルを発射する可能性がまた高まっているといっています。先週ここで話しましたけれども、金正日はイラク戦を注視しているらしいです。戦争のあり方とかどう攻めているかとか。それはもう悪の枢軸のうち次は自分だと思っているわけですし、フセインを狙ってミサイルを打ち込んだことですとか、フセイン親子は亡命せよとアメリカがいっている、こういうことは全部自分に、金正日、本人にひきつけて見ているわけですからですから、それに対して、じゃあやっぱり核で脅すしかないと。もし攻めてきたら核兵器を使うぞと。あるいはその前、近いうちにといわれていますが、またノドンを日本の近い所に落とすとか。こういうことをやる可能性が高まっているわけです。これに対して北朝鮮の有事の際にはアメリカがいれば大丈夫だといわれているわけですが、しかし本当に「アメリカはお好きなようにやってください」「アメリカさんに任しておけば大丈夫だからどうぞ好きなように」ということで済むかどうかですよね。


初の情報収集衛星

これで思い出すのは5年ぐらい前、北朝鮮からミグという戦闘機で亡命員が韓国に不時着した事件がありました。事件直後というのは、これが争乱かあるいは亡命か分からないわけです。でも防衛庁とか外務省が最初にこの情報をキャッチしたのはNHKのテレビのニュースより遅かった。キャッチして官邸に、総理に伝えたのは7分後だったんですね。一般の人が見ているのと同じようにテレビで始めて知った。そんな状態で、北朝鮮に何かあった時に「アメリカどうぞお好きなように」。全部が全部日本に良ければいいですが日本のほうが近いわけですから、アメリカのちょっとしたミスが日本にとっては致命的になる可能性もあるわけです。ようやく今日、日本国産、自前の情報収集衛星を上げるということになっています。日本独自で、アメリカ経由ではなくて、ノドンミサイルの近くで今人が急に集まっているとか、何か色々な物がそこを出入りしているとか、そういうことを把握しようということです。まだまだこれからですが。アメリカの情報収集衛星は25センチ程度のものでもかなり把握できるといいますが、そんなに正確ではないですけれども、まあ日本としてもようやくそういうことをするようになってきたということです。この対応は当然大事だし、ようやくそれが始まったということですよね。

聞き手  なるほど。でもこれがまた緊張感の高まる要因にはもちろんなっては行くんでしょうね。

笹木  しかしその情報をつかまないでどう対応するかというのを全部アメリカに任せているというのはさらに危険だと思うんですよね。

聞き手  万一ノドンミサイルが日本国内のどこかに着弾するような事態が起こった場合、それをNHKのニュースで総理大臣が知ったというのでは困りますよね。それを考えると情報の収集が大事なのは分かります。


日本がやるべきこと

笹木  それとさらに今日の真夜中、ブレアとブッシュが共同で会見していました。イラクの国民が今どうなのかということで、イラク政府は避難をさせないようにしているらしいです。例えばバクダッドから逃げたいと思う市民も逃げられない。国民を抱えていた方が相手は攻撃がしにくくなると。南部のバスラという町では今、人口の6割くらいは飲み水さえ無いといわれています。こんな中でイラクの国民、中東の人々に対してどうするのかという問題がやっぱりあると思うんですけれども、1つは韓国が5月には何とかやりたいということで、医療部隊ですとか、医療部隊といってもお医者さんだけではなくて、イラクに入っていく場合には危険な場所ですから軍隊が付いていくわけですけれども、この医療部隊と建設工営隊、まあ壊れたところとかの修復です。700人を5月にもう派遣しようということで、韓国の国会では今、法律を何とか審議しようということでやり取りが始まっている。日本はまだその動きが無い。これは非常に遅い。日本は完全に戦争が終わって、相手の国からどうぞといわれる状態で無いかぎりは派遣することが出来ないんです。隣の国とかにしかできないわけです。これはやっぱり変えないといけない。もうひとつブレアは、昨日もブッシュさんと色々意見が違っているみたいですが、あの戦争がおこった2日後にもうすでに言ってます。1つはイラクの石油は必ずイラクの復興のためだけに使う。イラク国民のためだけに使う。しかも国連の承認というか賛成を得て、国連として取り組む。これを言っています。もう1つはイスラエルの問題で、この中東の問題、これを必ず解決すると言っています。アメリカが行け行けどんどん過ぎて、よくいわれているように石油の利権を狙って攻めている部分もあるんだろうと。戦争後すき放題やるんじゃないかと色々そういう疑惑がやっぱりある。もう1つは戦後、イスラエルに非常に甘く中東を仕切っていくのではないか。これもイラク国民もアラブの国民もみんな心配している点です。ブッシュは今でも実質アメリカ一国で復興あるいは戦後の統治をやるといっていますが、ブレアはそれをなるべく国連でと言っているわけです。日本に国連の決議の文章を作るのをやってくれとか、日本もそれにようやく力を貸そうかとか。放っておくとアメリカがますます他の国から信頼をなくしていく。イラクの石油を使ってアメリカ企業が復興で儲けるんではないか、イスラエル問題で非常に不平等なことをやるのではないか。こういうことについてもいろいろありますから、国連をなるべく復興に絡ませる。これで日本がどれだけ力を果たせるかが非常に大事なことになっている、今そんな状態だと思います。

聞き手  ニュースを聞いていると、この戦費というのも思いの他かさんでいて、アメリカの経済を圧迫するんじゃないかということもいわれている。そんなにお金使ってイラクに攻め入る、そのメリットを考えるとするならば、やっぱり石油がアメリカは欲しかったんじゃないか。そう言われないようにすることも、アメリカにとって本当は大事なんでしょうけれども。

笹木  そうですね。経済の為にしゃにむになっている面もあるのかもしれませんけれども、それは結果的にすごく信頼をなくします。これだけの戦争を起こしてもそういうことをしたらね。

聞き手  そうですね。この戦争を起こすまでに、かなり国連との足並みがそろわない部分というのが浮き彫りになってしまった。この戦争が終わった後に一緒に戦っていたはずのイギリスも意見が違うということになると、本当に孤立していく。もうひとつには日本に住んでいると確かに北朝鮮というのはやっぱり気になります。イラクの場合は最初に国連の査察があって、大量破壊兵器が有るか無いか、あるいは長距離を飛ぶミサイルを全て放棄させるというようなことをやって今の状況が生まれているんだと思いますが、ここでもし北朝鮮で何かあれば、そういう査察やなんかの状況というものが無いままに始まってしまうというのも考えられますね。

笹木  イラクのこういった問題、復興についての枠組みとか国連をどう絡ませるかというのは戦争が終わってからではなくて、今からその動きをやって、まあ国連も色々問題があるにしてもそこしか今場が無いわけですから、そういう動きを日本がどれだけ起こせるかです。それが北朝鮮の問題にも関わるということでしょうね。

聞き手  まあこの辺りは今すぐに結論の出るものでもないのかもしれませんが、国連のあり方が本当に問われていて、第2次世界大戦をまだ引きずっていて戦勝国だけで常任理事国になっているんじゃないか。そんなことをやっていて、他の国で紛争があった時にちゃんとした結論が出るわけ無いということをずっといわれ続けてきた。それも延び延びにするんじゃなくて、そろそろ平行して考えていかなくてはいかないということですよね。

笹木  そうですね。それは絶対必要だけれども、その前提として日本自身が医療部隊さえ派遣できない。情報収集衛星も持っていないという状態ではねえ。常任理事国でもやれないことでもこういう強みを持つとか、こういう貢献をする。そんな方向性をはっきりうち出してはじめて国連改革も言っていけるようになるんでしょうね。

(文責:ささき竜三事務所)