毎週ラジオ出演中

聞き手  今日のテーマは?

笹木  国民の直接投票ということについて話したいと思うんです。直接投票ってよく市とか、福井県の例でいうと町村合併とかについて住民投票をやるとか、県レベルとか市町村レベルでの住民投票というのは最近時々色々なテーマでやったりします。

聞き手  そうですね。それを国レベルで。

笹木  そうです。国民全体でやるという国民投票。これ日本では全く無いですが、他のアメリカやイギリス、あるいはヨーロッパの国では当たり前のようにしょっちゅうやっているわけです。どんなテーマでやっているかというと、憶えている方もいると思うんですが、例えばイギリスがEU、ヨーロッパ共同体に入るかどうか。これはやっぱり国民がみんなちゃんと直接、賛成か反対かというのを投票して決める。これは非常に大事なことで、ある国がもう全部、その通貨も貿易も人も全部自由化していこうと。そこに入るかどうかというのはヨーロッパのそれぞれの国にとって非常に大事なわけです。

聞き手  考えてみると、まだイギリスはポンドのままです。

笹木  そうですね。非常に慎重なんです。だからそれを国民投票で採ると。これにひきつけて言いますと、たまたま昨日今日の新聞にアジアでの自由貿易協定、自由貿易地域、簡単にいうとヨーロッパのEUみたいなもの。アメリカ、北米と南米でもそういった経済圏を作ろうという動きがある。アジアでも作っていきたいというのを特に東南アジアの国々が言っているわけです。で、日本にもっと音頭をとってくれというんだけれども、日本はそれぞれの役所の考え方にずれがあったり、縦割りの色々な障害もあったりして、小泉さんはやるべきだと言っているんだけれども非常にスピードが遅い。で、これタイですとか韓国ですとか、そういう所から早くやってくれよと。中国がどんどんやっていくよと。あんな遠いアメリカからまでやろうとしているということで、日本の場合、非常にスピードが遅いんです。だからこういう問題もちゃんと国民投票で国全体としてやると言って決めてやれるようになったら、もっと早くできると思うんです。あるいはもうひとつ、もう市会議員も県会議員も国会議員も人数が多すぎるとかってよく意見聴くわけですが、議員の数を減らそうと決めるのは議会で決めるわけです。そうすると当事者が自分達の数を減らすことに賛成できるかというと、実態はなかなか遅いわけです。

聞き手  減らすのはいいけれど、誰が減るのということになってしまいますもんね。

笹木  それでもうなれなくなるのかとかね。そういうこともあります。国会でいうと4年程前に衆議院を500人から480人に20人ぐらい減らしました。これもやっぱり何年もかけてやっと20人かという話ですよね。ですからこういう問題も実際に国民投票でしっかりと決めてしまって、例えば衆議院なら、今480だけれども300にしようよとか。これをちゃんと国全体、国民の意思で直接投票して決めてしまう。こうするともう文句も言えないし、その後早く決められるわけです。実際他の国ではもう色々な国民投票がありまして、一番慎重なのは一般的に言うと日本以外ではイギリスが非常に慎重です。これはでもさっき言ったように、ヨーロッパ共同体に入るかどうか、やっぱりこういう国にとって大きな方向を決める時には大事だということで国民投票をやりました。フランスなんかは戦後8回やっているわけですが、今言った議会の、まあ日本でいうと参議院ですね、上院の改革ですとか、あるいは大統領の権限に関わるようなこと、まあ大統領を直接選挙しようということ自体も国民投票で決めていますし、任期なんかも国民投票で、何年大統領がやるかということも国民投票で決めています。イタリアなんかですと、日本では死刑廃止とかそういうことが時々議論になりますが、死刑をどうするんだとか終身刑のあり方についてどうするかとか、あともうひとつ、政党への国庫補助。これ日本でも数年前から始まりました。国民一人一人がお金払って政党に、国として国のお金を政党にあげると。しかし日本でもよく聞かれるんですが、あの金は何に使われているんだ。本当はもっと政党のシンクタンクというか政策を作る能力を高めるためにもらいますって言っていたんだけれども、結局選挙対策費用にしか使われていないのではないかと。それなら議員一人一人に配ればいいのではないか。そうすれば悪いことする必要もなくなるんじゃないかとか色々な議論があったりします。このイタリアなんかは政党への国庫補助というのを一回決めているんだけれども、これおかしいぞと。やめた方がいいんじゃないかということで、止めさせる国民投票をやって決定しているわけです。で、結局なくなったということもあります。あと、原子力発電所。こういうものについての国民投票もやっています。賛否を問うと。よく原子力発電所についても色々な立地、福井も含めてですが、これを住民投票で、という動きもあるわけです。これはこれで議論があります。ただこれ大事なのは、どの県もおそらく原発というのは嫌がると思うんです。住民投票をするとそれぞれの県全部嫌がると。で、各地域で住民投票やっているだけでは方手落ちなんですよね。福井全体として必要だというふうに反論も出てくるし、だから国民全体で、昔スウェーデンでありましたけれども、じゃあ本当に今、原発なしでいけるのか。いやでもやっぱりなしでいこう。両方意見あると思うんですけれども、それを国民投票でちゃんと国民の賛否をはっきり決めるとかね。仮に反対だったらかなり大変だけど、じゃあどうするんだと。エネルギーに今までよりもお金がいっぱいかかるようになるかもしれないし、賛成だということになれば、じゃあもう既に立地している福井とか、そういう所だけじゃなくて、大都市でもちゃんと、もうすこし小型の原発でも作れるんだから作れよと。これ国民投票でちゃんと決めて、やると決めたらおそらく、分散立地といいますけれども、他の都道府県でもちゃんと作ってよということも言いやすくなる可能性ありますよね。

聞き手  でもそれをするということになると本当に国民も勉強しなければいけないということがありますね。

笹木  そうなんです。そこがまたすごく大事なんです。

聞き手  闇雲に反対も出来ないしということですね。

笹木  そこがすごく大事なのは、よくその住民投票とか直接投票という話をしますと、結構反対する人は、それは衆愚政治、もう何でも国民がみんなよく考えているわけじゃないし、もう気分的に、自分の私利私欲でその都度投票して、それで全部大きい問題が決められたら、国が滅茶苦茶になるんじゃないかという反対論をいう方がいるんです。でもこれは逆の面があって、これは直接投票じゃないですけれども、昔臓器移植法案というのがありました。例えば健康な人の内臓の一部を病気の人に移植するとか、その法案。その時人の、あるいは死んだ直後の方の色々な臓器を使うとかそういうこともありますけれども、その時に脳死は人の死かどうか、ということも含めてかなり議論になりました。あの時にどうしてあんなにすごく議論になったかというと、あれは一人一人の議員が、党が賛成かどうか決めずに、一人一人の議員が自分の名前も記入して投票するということをやったわけです。そうすると非常にみんな注目するし、テレビ・新聞もそのことを特集で何回も取り上げるし、僕も票を投じた後で、条件付賛成のところで僕は票を投じたんですが、色々な方にあの問題ほど聞かれたことはなかったし、実際福井の人にもそれぞれ自分はこう思うけれどもという意見をあの時ほど反応のあったときはないんですね。ですから国民投票で、例えばさっき言ったアジアでのEU、ヨーロッパ共同体みたいなのをつくっていくのかどうかということを仮に国民投票しようとしたら、もうそれは特集でテレビも新聞もどんどんやるし、実際考えますよね、一人一人の国民の方。原発のことも、じゃあ実際本当に国の方針決めちゃうよ、あなたの投票で、ということになったら、単に無責任に気分的なものだけじゃなくって本当に考えて投票する。だからこれは知識を深くするというか、ちゃんと勉強するということも含めてプラス面が結構大きいんです。こういう日本のこれからのあり方に大きい問題というのは、今いったアジアでの共同体、あるいは原発や議員の数を減らすとかそういうことだけではなくて、たくさんあります。このラジオでお話したことでいうと例えばクローン人間です。こういうのは一応今だめだというガイドラインで方向性は出していますけれども、本当に日本としてどうするか。絶対にこれ止めるべきなのか。こういうこともやっぱり社会のあり方でものすごく大きい問題です。環境の問題でいうと食の安全。最近お話しましたが、遺伝子組み替え食品について日本は非常にアメリカから入ってくるものに対して甘いんだけれども、これやっぱり徹底的に、ヨーロッパ並にもっと厳しくしようという意見があります。クローン牛もやっぱりこれ危ないんじゃないか、不安だという意見もあります。こういう食の安全に関わることも、これをもし厳しくすればアメリカとの貿易摩擦にはなるわけです。しかしそれをちゃんとみんなの意見で決めましょうってやっぱり大事なんですよね。

聞き手  こうしてお話うかがっているとその大切さはよく分かるんですが、じゃあ日本では何故出来ないのか。するにはどうすればいいのかというようなことですね。

笹木  そうですね。他の国に当然あって日本に全く無いということで一番大事なことなにかというと、今の国民直接投票、そのもっと元々の話で憲法改正の手続きというのが日本は決められていないんです。日本国憲法の96条では各議員、日本でいうと衆議院と参議院のそれぞれの2/3以上の議員の賛成がまず必要と。これで2/3の賛成が得ることが出来たら、国民の承認が必要だと。国民の過半数の承認だということが日本国憲法96条に書いてあるんです。しかし具体的に、これを本当にやる場合には手続きのための法律が当然あるはずなんですが、日本はこれがないんです。ということは、占領軍が決めた日本国憲法ですね、簡単にいうと。で、それを実際自分達のものだとしたら、改正の手続法があって当然なんですが、例えば今過半数っていっていますけれども、具体的に法律で過半数というのは有効投票の過半数なのか、国民の20歳以上の全人口の過半数なのか、そのことさえも決められていないんです。で、それを衆議院参議院の2/3以上の賛成で、まあ一応議会の中で可決するんだけれども、その為にじゃあどういうふうに提案が出来るのか。何人の議員がこういう国民投票をやろうよと言い始めたら実際に衆議院でその審議が始められるかというのを提案要件というんですが、これもまったく決まっていないんです。ちなみにアメリカとかフランスでは、この憲法改正の為の提案要件、何人以上の議員が言い出したらそのことを議会で始められるかというと1人なんです。アメリカ・フランス・イタリアとか、憲法改正を何回もやっている国。ドイツは48回基本法の改正やっている。アメリカも18回戦後やっています。で、これはアメリカ議会の1人の議員がこの問題について憲法改正をやるべきだと言い出したら、とりあえずその議会でそのことを専門の委員会で、じゃあこのことについて必要かどうかっていうことを議会で議論が始められるんです。

聞き手  なるほど。ちょっと時間もなくなってきましたので、何故そんなに日本が諸外国と違うのかも含めて、来週もう一回詳しく教えてもらえませんか。

笹木  いつも言いますけれども、これがお上意識から国民もいろんな団体も抜けきれない一番の根っこだと思うんです。
(文責:ささき竜三事務所)