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聞き手  以前ちょっとお話に出てきました、食の安全について今日はお話を進めていくということですね。

笹木  昨日、私も久しぶりに行った所があって、産直、実際にかなりこだわって作っておられる農業者の方が共同で作った販売所なんですが、そこに行って、鴨の卵って鳴尾さん食べた時ありますか?

聞き手  いや、鴨南蛮はありますけれども、鴨の卵はないですね。

笹木  僕も初めてなんですが、そこで昨日売っていたんで。有性卵の鴨の卵なんですが、それを今朝も食べてきました。そんなに普通の卵と違いませんが、うまかったです。あと米で作ったパンというのはご存知ですか?

聞き手  最近聞きますね。米の粉で作ったパンですね。

笹木  ちょっと粘りがありますが、この米も無農薬米で作ったパン。そんなのを売っている、産地直送でやっている場所を結構ちょくちょく見ます。前回ちょっとお話したのは、食品安全基本法という法律が通って、狂牛病のこともあったんで、食品と牛肉についてはおそらく秋ぐらいから、もうそれぞれの野菜であっても加工物であっても標識番号がついていて、どこで・どのように作られたかというのが分かるようにする。例えば店の中にパソコンが置いてあって、そこで標識番号で調べると大体分かるようになる。まあそういう動きになるという話をしました。しかし海外から入ってくる輸入農産物とか牛肉は全くこの対象になっていなくて、外から入ってくる。日本は輸入が多い、自給率は4割しかないわけですから、どんどん入ってきているけれども、結構チェックが出来ていない。100のうち2ぐらいしかチェックできていない。中国産の冷凍ホウレンソウとかああいう問題もありました。狂牛病もありましたが。そういう問題があるというお話をしたわけですが、最近逆の動きもありまして、中国・台湾・シンガポール、こういうアジアの国で、逆に日本の高い農産品を買いたいという動きが結構多くなっているんです。元々は青森のりんごや鳥取の梨とか、そういう限られた物だったらしいんですが、これも現地産の物に比べるとすごく高いんですけれども。で、それ以外でも、今米を、例えばそれも普通の米ではなくてコシヒカリを中国・台湾・シンガポール、そういう所に輸出をしようという動きが始まっている。

聞き手  日本って自給率の低い日本ですから、輸入することは考えても、輸出することなんていうのは想像もつかないんですけれども。

笹木  そうですね。日本の食糧といいますと、今まで輸出していたのは、さっきお話したりんごですとかそういう果物類、それと缶詰用のカツオとかマグロとか冷凍の魚ですね。これがほとんどで、大体20億ドルぐらいらしいです。で、輸入は421億ドル。だから20倍輸入しているわけです。輸入している1/20しか外国に日本は輸出していない。これも一般的にはそんなに高い価格ではない物が多いわけです。しかしこれからは高い価格の米を、台湾も中国も米はとれるわけです。一般的には向こうの米の値段のほうがずっと安いわけです。しかし高くても日本の米が買いたいという、そういう国の方がいるということなんですね。

聞き手  おいしいからですか。

笹木  おいしいということとやっぱり安全ということらしいです。

聞き手  なるほど。番組の中でも一度話したことがあるんですが、米どころといわれる所、日本でも北のほうに多いです。これ何故かというと、雪が積もるというのが米を作る土壌にいいそうです。台湾なんかではそういう環境ではないでしょうから、そういう意味ではおいしいお米が、安全でおいしいお米が入ってくるというのは、やっぱり向こうにとってメリットを感じるんですね。

笹木  そうですね。今のお話ですが、大野の酒蔵で、夏の温度と冬の温度の差が大きい時がいい米と酒が出来るという話を聞いたことがあります。今の話と似ていますね。さらに一般的には、やっぱり日本の農産品は中国に比べて食の安全という面でも非常にいいですから、そういうブランド力があるらしいです。

聞き手  中国や台湾やシンガポールの物の安全性はやっぱりクエスチョンマークがつくんですか。

笹木  いや、全部ではないでしょうが、向こうにとっては、日本の農産品はうまいし、やっぱり安全というイメージは確実にあります。それとやはり中国製の冷凍ホウレンソウではないですが、かなり規制はゆるいですよね。

聞き手  そういうイメージがついているのでしたら大事にすれば戦略的に使えますね。

笹木  そうです。今日本の国内でも経済的には安い物がどんどん海外から入ってくる。日本としては高くても売れる、よく高付加価値とかいいますが、こういう物をどう作るかといっているわけですが、一番自給率が低い農業で、米でもこういうことが起きているということです。逆にいうと、安全じゃないけど安い物をさっきいったようにずるずる、ざるざると、入れている。外に出すのは高くても安全な物。欲しいという方はおそらく中国とかの中でも所得が高い方でしょうね。しかし13億人いたら、そのうち2%だとしても2600万人です。そういう市場が、マーケットがあるということです。そこに向けてどんどん輸出を今からしようということです。しかしこれ考えてみるとちょっとおかしいのは、国内に安全でうまい米がある。余っているのに、食料全体では輸入をしていて、外に安全で人気のある物を出している。やっぱりもったいない話という面もありますよね。もちろんそれぞれの消費者が選んで、安全じゃなくても安ければいいんだって選んだ結果そうなっているのならいいんですが、やはりこれには流通の問題とか色々な仕組みの問題があって、実際に食べる人と作る側がうまくドッキングしていない。機会がないから。どこに行ったら買えるか分からないから。なかなかまだそういう安全な物が買える場所、店舗が少ないから。だから買えない。さらに消費も伸びないということもあって、こういう逆転現象というか、安全な物は一方で外に出して、安全じゃない物は中に入れているということが起きているのかなと思うわけです。

聞き手  やっぱり、向こうに輸出してもいい値段で買ってくれて、儲かるということですよね。

笹木  もちろんそうです。

聞き手  こういう言葉はあまり好きではないですが、国内でも最近勝ち組と負け組が分かれつつといわれています。貧富の差というか中流の人とお金をちゃんと儲けている人に分かれてきた。台湾・中国・シンガポールなんかでも貧富の差が出来てきて、富める人が、そういう安全な物を高くてもいいから買い求めたいという所に流れているということも考えられますね。

笹木  そういうことでしょうね、今のところは。日本国内でいうと、そういう機会があるし、そういう物もあるのに、まだまだ普及していない面がある。野菜なんかもそうですね。あるいはさっきお話しました無農薬米なんて作るの大変らしいです。一年目ではまだ土壌とかがそんなに完全に変わるわけではないですから、何年かかからないと無農薬米というのはなかなか難しいらしいです。

聞き手  それまで農薬使っているとその農薬が抜けるまでということですね。

笹木  簡単には、すぐには土から抜けない。しかしそこまでこだわった無農薬米を、さっき最初にお話した福井市内の高木にあるビレッジファーム燦燦という店舗では、農業者の方が共同で、そこに持ち寄って、自分の名前も顔もそれぞれ付けて売っている。野菜もあります。果物もあるし、米もあると。米のパンもあるところですが、ここは使用した農薬は必ず表示している。無農薬米もありますが、減農薬米の場合には使用農薬の表示をしていると。かなりこだわって作っているところの販売所です。それともう1つ、数日前に見に行ったんですが、福井市内のマーケット、ベルの中で、池田で作った無化学肥料、減農薬の野菜ですとか、これの販売所があります。面白いのが、池田町で作っているそういう農業の活動で、勇気・元気・正直農業という、まあ非常にすごい名前ですが、そういう認定を県とか国とは別の池田町の認定制度を作って、実際に野菜を家庭菜園的に作った高齢者の女性の方が、作ったその野菜を福井のマーケットで売ると。そのスペースを確保して、お金を出して借りているんでしょうね、そこで売っているわけです。これ資料なんか見ますと、参加している高齢者の女性の方々にとって、年収がこの活動で20万とか30万らしいです。ですから月にしてそう多い額ではないです。年20万30万の利益ですから。しかし高齢者の女性の方が家庭菜園で作っている野菜を直接売る。今までは自分が作った物を誰が食べているのか顔が見えない。時々マーケットにご本人が売りにもこられるらしいです。そうすると顔が見える、買ってくれる人の。そうすると非常に張り合いが出てくる。例えば米も、こだわって作った人の米も、それほどでもない人の米も全部まとめて、混ぜられて流通するわけです。そうすると頑張りようがあるのかという話があります。ですから直接売る、そして直接顔が見えるとそういう生きがいが生まれる。まあ生きがい農業みたいな形ですけれども、それで非常に成功しているという例もあります。あともう1つ、大野の朝市。これ大野でやっていますが、福井市内のマーケットで大野の朝市でとれる物を売るという。これも結構こだわった物であったり、作った人の名前が表示されていたりする。こんなのもあります。あと、農協がやっている喜ね舎ですか。あれもとにかく作った人の名前は表示されている。ホームページで見れば写真、顔も見られる。こういうことはやられています。ですから徐々にではあるんですが、こういう産地直送の運動が広がっているし、それはまあ農薬のこと、安全についていうと、ものすごくこだわっている所と、まあそれについてはそれ程ではない所の違いはありますが、かなりそういうのは広がりつつあるということだと思うんです。併せていいますと、私も10年ぐらい前から時々やっている、美山町の赤かぶらってご存知ですよね。あの赤いかぶらっていうのは全国にとれる所が数ヶ所あるらしいんですけれども、中も赤いのは美山町だけらしいんです。こう割っても中も赤いのは。土が独特なんでしょうね。それがすごくうまい。10年ぐらい前から実際に土地を借りて、焼き畑農業で火入れもやって、草刈もやって、で、収穫するという、僕ら趣味の会でやっているわけです。秋にいつも収穫祭をやるわけですが、まあ草刈りと火入れ、あと種まきぐらいしか私もやりませんが、やってみるとやっぱり農に関わるというか、実際に食べる物を作るっていうのは結構面白いんですよね。収穫祭もすごく面白い。これは僕らだけではなくて、特に大都市で住んでいる人っていうのは農業というか農のある暮らし、自分で食べる物を作るということをやりたい人が増えているらしいです。今サラリーマンも大変ですし、脱サラしてそういうことやりたいという人は確実に増えているんですね。で、一方では福井でもそうですが、農村で作られていない、全然手を入れていない、耕していない放棄地といわれる農地がどんどん増えています。山の森林も放棄されたような、もう荒れ放題の森林がどんどん増えています。一方では今まで農業とか林業に関係なかった方がそういうことにやってみたいとか、脱サラして収入が減ってもやりたいという人は増えているわけです。だからここがドッキングしていないんですね。農地所得の色々な制限がまだまだありすぎるとか色々なことがありますが、ドッキングしていないんで、こういうのをもう少しドッキングしていけば、まあ脱サラして専業にならなくても、週末だけやるとか、ヨーロッパでよくあるといわれる、夏休みとかに色々な人が利用できる農村にある別荘でそういう作業をするとか、色々な形が国内でも始まっています。さっきは産地と消費地の接点をつなぐという話でしたが、そういう農業をやりたいと思っている方と空いている土地をドッキングさせる。これが今日冒頭にお話しました、せっかくいい物があるのに外に出してもったいないというこの問題のために必要なのかなと感じたりするわけです。

聞き手  そうですね。今ファーストライフからスローライフへ、ファーストフードからスローフードへなんてことがいわれていますが、例えば物を売るということにしてみても、今の経済の循環の中では考えられないような、もともとの基本に戻ったような、朝市なんか特にそうですね。自分で作った物、あるいは自分が直接仕入れた物を直接売るということが見直されつつあります。あるいはこれまでは大量に作って大量に売ると。これは食物にもいえるんだというものがそうじゃないんだと。手間かけて少々高くついてもしっかりとした物を売るんだという方向に行ってみたり、あるいは自分の生活の仕方もサラリーマンであるという、社会の歯車という部分も捨てて、自然の中での生き物としての歯車に戻ろうということになったり。そういうふうなことになりつつあるということなんですかね。

笹木  本当にそうですね。今のお話の通り一般的に工業製品というのはたくさん同じ物を生産して能率をよくするということでしたが、最近は工業製品まで今のお話じゃないですけれども、一人一人の消費者のニーズに合わせて多品種少量生産になっているわけです。だから農業も当然そういう多品種少量生産というか、その方向で価値・付加価値をつけると。ちょっと高くても売れるものを作る。当然あるべきだし、生活のあり方としてもあることなんでしょうね。
(文責:ささき竜三事務所)